
エルサレム:イスラエルは水曜日、占領下のヨルダン川西岸地区における交戦規定を見直すようにとの米国の要請に反発を示した。イスラエルが同地区の武装組織を対象とした一連の作戦をほぼ連日強行してパレスチナ人数十人が死亡している中でのことだ。
ヤイール・ラピード暫定首相はハイファで行われた軍の式典の席上で、「交戦規定について誰の指示も受けるつもりはない。命懸けで戦っているのは我々だからだ」と述べた。ベニー・ガンツ国防相による先の発言に同調したものだ。
米国務省は火曜日、イスラエルに交戦規定の見直しを要請する意向を表明した。アルジャジーラのシリーン・アブアクラ記者が射殺された事件について、イスラエル軍兵士の誤射だった可能性が高いと同軍が結論付けたことを受けたものだ。
同記者は5月11日、パレスチナ武装組織の拠点都市ジェニンでイスラエルによる襲撃を取材中に死亡した。パレスチナ側はイスラエルが意図的に同記者を狙ったと非難しているが、イスラエル側は否定している。
ラピード首相は、「イスラエルは同記者の死に弔意を表明している。敵からの激しい銃撃があった中で起こった悲劇だ(…)IDF(イスラエル国防軍)が罪のない人を意図的に銃撃することは決して無い」と述べた。
イスラエルの都市街頭においてパレスチナ人による攻撃が相次いで以降、同国はヨルダン川西岸地区への襲撃を強化している。水曜日にもそのような襲撃が行われ、イスラエル軍がパレスチナの「イスラム聖戦」の構成員1人を殺害した。
イスラエル軍は、ほぼ毎晩の治安掃討作戦の一環として、数カ所で逮捕と捜索を実施した。同軍によると、そのうちの1ヶ所のトゥバス村では、自軍の兵士に向かって即席爆発装置が投げ込まれ発砲が行われたため撃ち返したという。
「イスラム聖戦」は、死亡した男性ユニス・タイエさんは構成員だと主張し、衝突の最中に死亡したと述べた。タイエさんの家族はそれを否定しており、銃撃を受けた時は道を渡ろうとしていただけだと言っている。
この事件とは別に、「実弾発射で応戦し容疑者を無力化した」兵士に対して1人のパレスチナ人がハンマーを使って攻撃を行ったと同組織は述べている。
ヨルダン川西岸地区、ガザ地区、東エルサレムにおけるパレスチナ国家樹立を目指した米国の仲介による和平交渉は2014年に決裂している。
外交的な停滞は、米国が支援するパレスチナ自治政府(PA)の信頼の崩壊につながっている。ヨルダン川西岸地区におけるPAの自治権や治安管理は限定的だ。
ガンツ国防相は、PAは武装組織の抑制にもっと努力するべきだと述べた。「武器の拡散と統治の欠如が、パレスチナの人々とPA自体の両方に被害をもたらしている」
パレスチナ解放機構のワセル・アブ・ユセフ氏は、ガンツ国防相の発言を「絶望的」と評した。「我々が日々殺されていることの責任はイスラエルのみにある」
ロイター