• ベイルートとトリポリ市内でデモ隊が道路を封鎖する一方で、レバノン政府はシリア難民問題解決に向けた国際的な支援を改めて要請している。

ナジャ・フーサリ

ベイルート：月曜日、レバノンの経済破綻に追い打ちをかける事態が発生した。ベイルートとトリポリ市内で、デモ参加者が停電とレバノン中央銀行による燃料補助金の廃止の決定への抗議として、道路を封鎖したのだ。

デモと同時期に、レバノン暫定政府は国内のシリア難民救済のために国際的な取り組みを改めて要請している。

ベイルートのカスカスとコーニッシュ・アルマズラーでは、最近の生活への経済的打撃を受けて、群衆がゴミ箱を使って通りを封鎖した。

抗議者の一人は「我々はもうこの状況に耐えられない。死にそうだ。電気も水も薬もない。医療費も支払えず、病院の扉のそばでは死が待っている」と話した。

レバノンでは、医療危機が深刻化する中、がん患者にとって不可欠な医薬品の不足が大々的に報じられている。

一方、ガソリンスタンド経営者組合の一員であるジョルジュ・ブラックス氏は、「中央銀行が月曜日に、燃料補助金を完全に打ち切った。今後ガソリンスタンドで販売されるガソリンには補助金が出なくなり、闇市場でドル為替レートに従って販売されることになる」と話した。

ガソリンガロン（20リットル）は20,000レバノンポンド（13.18ドル）値上がりし、1ガロンの価格は為替レートの変動により63,8000ポンドに達した。

レバノン中央銀行が月曜日、補助率20％の補助金を廃止したことを受けて、輸入業者の間では、ガソリンスタンドのオーナー向けに販売する燃料を輸入するために、闇市場でドル（1ドル＝36,000ポンドのレート）を購入する動きが出ている。それまでは、中央銀行のSayrafaプラットフォームに従って、闇市場の為替レートより約7,000ポンド低いレートでドルを購入してきた。

また同日には、レバノンの内務大臣が欧米諸国の駐レバノン大使らに、シリア難民問題を解決に向けて「一致協力し、レバノン当局の取り組みに応える」よう求めた。

「シリア難民問題を放置すれば、受け入れ側の国家に対する反感を煽り、国家やレバノンの司法制度に対する信頼を低下させ、他にも社会的・心理的な面で受け入れ側に好ましくない影響を及ぼす恐れがある」と大臣は述べた。

月曜日に発表された報告書の中で、リタニ川総局は、特にベカー地域において、国内のシリア難民キャンプでの取引、農場の設置、家畜の飼育、衣類・食料・電子機器の販売店開業に関して合意違反があるとしている。

報告書では、難民キャンプの実態が「国際協定における難民の定義に反し、レバノンの法律の規定の例外であり、諸外国の難民の状況とは対照的である」と指摘されている。

当局は、レバノン内務大臣、国家公安委員会、社会問題担当大臣、労働担当大臣に適切な対応を求めている。

レバノン当局は、難民の過密問題を解決し、毎月15,000人の難民をシリアに送還する計画を立てているが、国連難民高等弁務官事務所はこれを拒否した。

レバノンのナジブ・ミカティ暫定首相は先日、アントニオ・グテーレス国連事務総長に、難民問題への懸念を示す書簡を送った。

Civic Influence Hubのエグゼクティブディレクター、ジアッド・アル・サイェーグ氏は、「レバノン当局がシリア難民の問題に関して行っていることは、ポピュリズムに基づいており、脅迫、扇動、物乞いを背景としている」

同氏は「シリアへの出入国に関する検査が行われていない」ことと共に、「難民数の統計値を統一せず、シリア人労働者とシリア人難民を分類しない」方針の根拠を疑問視している。

また、「40,000人のシリア難民がカラムーン、ザバダニ、アルクセイル地域に送還されていない」理由について疑問を呈しており、なおかつ、レバノン政府について「UNHCRとの協力議定書の締結を拒否しており、それによって難民の出身地や帰還先、帰還経路を特定ができない」としており、このことにも疑義を唱えている。

その一方で、難民問題の解決に向けた国際社会の対応の遅れについても非難した。

「現在起きていることは、難民と受け入れ側の間に緊張を生み、レバノンの国家安全保障を危うくするかもしれない」とアル・サイェーグ氏は付け加えた。