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核合意の結果に関わらず、イランの問題は悪化し続ける

イラン核合意の復活へ向けた交渉に関するJCPOAの会合に出席する、イランとEUの代表者たち。オーストリア・ウィーン。(ファイル/AFP)
イラン核合意の復活へ向けた交渉に関するJCPOAの会合に出席する、イランとEUの代表者たち。オーストリア・ウィーン。(ファイル/AFP)
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06 Dec 2021 08:12:06 GMT9
Majid Rafizadeh
06 Dec 2021 08:12:06 GMT9

「包括的共同行動計画(JCPOA)」における核合意が復活した場合、イラン政権が切実に必要としている経済的利益が得られることは間違いない。

この合意が成立した場合、イラン政権は世界の金融システムに再び組み込まれ、1979年の建国以来最悪の予算不足を部分的に解消することができる。テヘラン政権は毎月10億ドルの赤字を抱えていると言われており、核合意がなければインフレはさらに進み、国の通貨であるリヤルの価値が下がることになる。

また、イランは中東地域の民兵やテログループへの資金提供に大きな問題を抱えているため、核合意はイランの代理戦闘部隊を間接的に支援することにもなる。ヒズボラのリーダーであるハッサン・ナスラッラー氏は以前、同グループへの寄付を公に呼びかけ、次のように述べている。「制裁や威嚇行為の数々は抵抗勢力に対する戦争の一形態であり、我々もまた然るべき対処を行う必要がある。本日発表するのは、我々は人民の支持を必要としているということである。これらの措置に対抗することは、レバノンのレジスタンス、その国民的基盤、社会的環境の義務である」と述べた。

言うまでもなく、資金繰りに苦しむこのイスラム政権は、制裁を解除して国庫に何十億ドルもの資金が再び流入することを切望している。そうすれば、イスラム革命防衛隊(IRGC)に資金を供給し、レバノン、イラク、シリア、イエメンのテログループや民兵グループに資金を提供して武装させるなど、同地域における軍事的冒険主義やプロジェクトを拡大することが可能になる。

とはいえ、核合意の復活がイラン政権の核心的な問題を解決すると考えるのは間違いである。

イランの社会、経済、政治の状況は、英国、中国、ロシア、フランス、米国、ドイツとの間で初めて核合意が成立した2015年以降、大きく変化している。そもそも、国内でも中東でも、政権の人気は下がり続けている。6年前、穏健派と呼ばれたハサン・ロウハーニー大統領は、核合意によって人々の経済状況を改善し、世界との関係を正常化すると約束した。多くの人々はロウハーニー政権にチャンスを与えたが、核合意が一般の人々を助けず、地域における政権の不安定な行動を変えられないことにすぐに気がついた。

近年、政権に対する抗議活動が活発化しており、IRGCによって何千人ものデモ参加者が殺害されている。アムネスティ・インターナショナルによると、イラン政府のさまざまな部門がこれらの虐待や犯罪に関与しているという。同NGOは「イランの警察、情報・治安部隊、刑務所関係者は、裁判官や検察官との共謀のもとに、恣意的な拘束、強制失踪、拷問など、拘束された人々に対する衝撃的な人権侵害の数々を犯してきた」と述べている。

政権が武力を行使しても、国民の多くが共有する深い不満と怒りは高まり続けている。

マジッド・ラフィザデ博士

政権が武力を行使しても、国民の多くが共有する深い不満と怒りは高まり続けている。この、政権へ向けた納得し難い感情は、たとえ核合意が成立しても解消されることはないだろう。

第一に、イランの経済問題は、腐敗した金融システムに起因する根深いものである。現在の通貨危機は、1979年の1ドル70リヤルから先週の29万2,000リヤルまで、過去40年間ほぼ連続してリヤルの価値が急落してきたことを考えると、決して異例なことではない。この傾向は、イランの政権が国内に蔓延する汚職に対処しない限り終わることはないだろう。

イランの金融システムは、一般の人々よりも官僚やトップの人々に利益をもたらすように設計されている。

第二に、イランの財政問題を解決するためには、外国からの投資を呼び込む必要がある。しかし、核合意が復活したとしても、欧米の企業やビジネスは非常に慎重になり、政治的・経済的な安定を優先して投資を行うだろう。もし核合意が再び破綻したら、という懸念は消えない。

第三に、もし合意が成立したとしても、米国議会は、人権侵害やテロ行為を理由に、イランの政権や政府組織、個人に制裁を科すことが可能だ。

第四に、バイデン政権は、前米政権時代に課された制裁の多くを解除することができない。なぜなら、これらの制裁は、米議会の両院からの支持を得て、圧倒的な票数で可決されたものだからだ。イラン政権に課された最も重要な制裁のいくつかは、2017年の「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」によってもたらされたものであり、これはイランに対する重要なイニシアチブとなっており、今後もテヘランに強い打撃を与える可能性が高いものである。

総括として、イラン政権が抱える根本的な危機は、世界の列強と核合意が成立したとしても悪化するだろう。

  • マジッド・ラフィザデ博士は、ハーバード大学出身のイラン系アメリカ人の政治科学者。
    ツイッター:@Dr_Rafizadeh
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