
メネクセ・トキャイ
アンカラ:両国が4年間にわたる外交関係の冷え込みの解消に向けて動く中、トルコが新たな駐イスラエル大使を任命した。
2018年、ガザ境界地域でのデモの際にイスラエル軍が60人のパレスチナ人を殺害したことをめぐる対立から、地域の大国である両国が互いに相手国の大使を追放してから空席となっていた大使の職に、サキル・オズカン・トルンナー氏が任命された。
数週間前に、イスラエルは熟練の外交官イリット・リリアン氏を新たな駐トルコ大使に任命している。レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領も数か月のうちに、3月のイスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領によるアンカラ訪問に報いるものと見込まれていた。
トルンナー氏は、予想に反して政治任用者ではなく、経験豊富な熟練の外交官だ。同氏は2010年から2014年にエルサレム総領事、パレスチナ大使を務め、パレスチナのマフムード・アッバース大統領から「Order of the Jerusalem Star」を授与されている。
イスラエルはトルンナー氏の任命を歓迎すると思われる。
ELIAMEPのトルコプログラムの非常勤研究者であるセリン・ナシ氏は、トルコ政府の人選はイスラエルにとって好ましいものだと述べた。
「以前、外務省はトルコの親政府派のSETA財団で外交政策ディレクターを務めるウフク・ウルタス氏を任命しようとしていた」と語る同氏によれば、ウルタス氏は「反イスラエル的見解」と外交経験の欠如から、イスラエルにおいて「問題の多い人物」と目されていたという。
両国でもうすぐ選挙が行わることが和解プロセスの加速につながったと、ナシ氏は語る。
「11月に国会議員選挙が予定されていることから、イスラエル側は前もって大使を任命し、国内政治による干渉を未然に防ぐことで、和解プロセスを確実なものにしようとしたという面がある」と同氏はアラブニュースに述べている。
「トルコも選挙の時期がやってきている。政府は国内の懸案とイスラエルとの関係修復に向けた取り組みとの間でバランスをとろうとしている」とナシ氏は言う。
専門家らは、トルコとイスラエルは観光、エネルギー、農業、水処理技術、貿易、防衛の分野で連携を深めることを望んでいるという。
ナシ氏によると、2010年のマヴィ・マルマラ号事件の後、防衛面での連携は機能していなかった。この事件は「自由船団」の一部として支援物資を積んでガザに向かっていたトルコの船舶をイスラエルの特殊部隊が襲撃したもので、この襲撃により乗員9名が死亡した。
「NATOの演習の際に、マヴィ・マルマラ号事件以降初めてトルコのフリゲート艦Kemalreisがハイファ港に入港したことは、この面でも関係改善が進む可能性を示している。壊れた信頼関係を修復するには時間がかかるだろう」と同氏は語った。
共にイラン政権と対立していることも、トルコとイスラエルの接近を後押しすると思われると、同氏は語る。
「さらに重要なのは、地域における2つの軍事大国である両国には、互いに協力すれば地域のバランスを変える力があるということだ」
しかし、イスラエルはトルコのハマスとの関係を注意深く監視するだろうし、国内政治が「関係正常化のプロセスを妨げる可能性が依然としてある」とナシ氏は指摘した。
イスラエルの外交政策シンクタンクであるMITVIM研究所の年1回の世論調査によれば、回答者の72%がトルコとの関係強化を望んでおり、昨年の調査より12%増えている。
イスラエル国家安全保障研究所のガリア・リンデンシュトラウス上席研究員は、注意深く巧みな外交が必要となるため、両国共に熟練の外交官を選んだことは、より良好な関係に向けた良いスタートとなったと語った。
「いくつかの課題が控えている。イスラエルの選挙、ヨルダン川西岸地区の緊張の高まり、トルコの選挙といったものだ」
しかし、1996年の自由貿易協定の更新について話し合うという今年の決定は、「既に盛んな両国間の貿易をどういった分野で拡大していくかを検討する良い機会をもたらした」と同氏は述べた。
トルコがイスラエルとの外交関係を完全に回復すれば、ロシアとの兵器売買とNATOでの対立で損なわれた米政府が抱くトルコ政府へのイメージも、改善される可能性がある。
リンデンシュトラウス氏はまた、両国の和解はトルコの観光業の活性化にもつながる見込みがあるとも述べた。「イスラエルの観光客は再びトルコに押しよせており、イスラエルの航空会社はまもなくトルコでの運航を再開するでしょう」と同氏は述べている。