
アラブニュース
アル・ムッカラー:イエメン政府関係者と人権団体は、親イラン武装組織フーシ派が保有するサヌアの病院で、期限切れの薬剤を注射された白血病(血液がん)の子ども18人が死亡したとみられる事案について、独立した国際的調査を行うよう求めている。
地元メディアの報道、独立機関や子供の親族によると、イエメンのサヌア市内にあるクウェート大学病院の医療従事者が9月下旬、約50人のがん患者の子どもたちに化学療法剤メトトレキサートを投与し、少なくとも18人が死亡、他の子どもたちは集中治療室に移されたという。
子どもの家族からの苦情にもかかわらず、フーシ派の医療当局は、今月初めに地元メディアがサヌアの病院で小児がん患者が死亡したと報じるまで、この事案を隠蔽しようとしたとされる。
この事案に対しては広範な非難が沸き起こり、直ちに独立調査を行うよう求める声が上がっている。
多くのイエメン人は、フーシ派が期限切れの医薬品や密輸された医薬品を扱っているとして非難している。
ジュネーブに拠点を置く「権利と自由のためのSAM組織」、米国正義センター、「イエメンのための橋」(Bridges for Yemen)は共同声明を出し、イエメンの国際援助団体にこの事案の調査を求めた。
「イエメンのための橋」の代表であるフサム・アル・ヤフェイ氏は、次のように述べた。
「フーシ派が医療状況をどう管理しているのか、信用できなくなっている。
特に報道機関のリーク情報により、フーシ派が医薬品や医療用品などの医療援助物資を闇市場で販売したり、それらの医薬品を使えなくなる状態になるまで保管したりしていることが明らかになっている」
子供の親族によると、フーシ派の医療当局は調査要求を無視し、死亡証明書の発行も拒否したという。
この病院で亡くなったイスマイル・モハンメド君(12)の親戚であるファイサル・アル・カウラニさんはイエメンのBelqees TVに対し、イスマイル君は9月24日に病院で通常の化学療法剤を服用した直後から、嘔吐と頭痛に苦しめられていたと語った。
心配した家族がイスマイル君の主治医に連絡したところ、鎮痛剤の投与と最寄りの医療機関への搬送を指示されたという。
イスマイル君の体調が急変したため、家族はもう一度医師の診察を受けさせた。
「使用期限切れの薬か何かを投与されているという理由で、イスマイルをすぐに病院に戻すように医師から言われたのです」。
アル・カウラニさんはこのように話した。
イスマイル君は深夜にサヌアのパレスチナ病院に移されたが、数時間後に死亡した。
「私たちのお金はもう医療に費やしてしまった。
私たちは無力です。誰にも苦情を申し立てることができないのです」
この一件が公表された際、フーシ派は責任を認めようとしなかった。
アル・マスダール・オンラインの編集者アリ・アル・ファキ氏はアラブニュースの取材に対し、次のように述べた。「フーシ派は当初は反論していましたが、後に互いに責任をなすりつけるようになりました」
「どうやら、この件には大物が絡んでいるようです。現在はこの件を終結させる前に、スケープゴートとなる下級役人を探しているところです」
「期限切れの薬の密輸は、フーシ派幹部らが経営する会社と関係があるので、間違いなくこの事案を終わらせるでしょう」
アラブニュースは、イエメンのアデンの医療当局者に対し、この状況についてコメントを求めた。
彼らはコメントを拒否した。理由は、この件に関しての知識が足りないことに加え、フーシ派の報復からサヌアにいる同僚を守りたいからだとした。