
モハメド・ナジブ
25日未明、イスラエルが占領地ヨルダン川西岸地区を急襲し、パレスチナ人6人が死亡、20人が負傷した。イスラエル軍は新たに出現した武装組織を標的にした。
その後、その武装組織のメンバーとされる人たちの葬儀に数千人が参列した。
パレスチナ保健省は、ヨルダン川西岸地区北部ナブルスで5人が死亡したと発表した。
イスラエルは、ナブルスで新組織「獅子の巣」を標的とした夜間作戦を実行したことを認めた。
イスラエルは、最近攻撃が多発しているのはこの組織のせいだとしている。
ラマッラーの北にあるナビサレハではパレスチナ人1人が、夜間にイスラエル軍と衝突した際、胸を銃で撃たれ、その傷が原因で死亡した。
犠牲者の氏名は、ナブルスを拠点とする組織「獅子の巣」の幹部であるワディー・アル・ハワ(31)、ハムディ・シャラフ(35)、アリ・アンタル(26)、ハムディ・カイイム(30)、ミシャール・ザヒ・バグダディ(27)、ラマッラーのクサイ・アル・タミミ。
イスラエル国防軍は午前1時にナブルスを急襲し、カスバ地区のアパートを標的にした。
同市をパトロールしていたパレスチナ治安部隊が、イスラエルの秘密捜査員が獅子の巣の本部に向かっているのを見つけた。
そして衝突が発生し、警戒態勢を取っていた同組織のメンバー数十人がイスラエル軍との戦闘に加わり、イスラエルの任務を失敗させた。
ヨルダン川西岸地区の都市では午前2時頃、モスクのスピーカーから、ナブルス市民を支援するために外に出るようパレスチナ人に促すメッセージが鳴り響いた。
かつてないほどの怒りが広がり、怒りのスローガンや怒声が飛び交う中、数千人の市民が25日正午、ナブルスで執り行われた犠牲者の合同葬に参列した。
デモ参加者は国際社会に対し、パレスチナ人をイスラエル占領軍の犯罪から守るよう訴えた。
空に向けて銃弾を発射し、獅子の巣は暴力的な対応をするとイスラエル軍を脅迫した。
ラマッラーの北西にあるナビサレハ村で執り行われたアル・タミミさんの葬儀には数百人が参列した。
マフムード・アッバース大統領の組織であるファタハは、イスラエルがパレスチナ人に対して犯罪を犯し続けていることを非難するよう呼び掛けた。
それに応じて、ヨルダン川西岸地区やガザ地区の都市では抗議ストが行われた。
アッバース大統領の報道官であるナビル・アブ・ルデイナ氏は声明で「アッバス大統領は、ナブルスで行われている、このパレスチナ人への攻撃を止めるため、緊急に連絡を取っている」と述べた。
パレスチナの組織「イスラム聖戦」の指導者であるハレド・アル・バトシュ氏は、全ての「戦線」でイスラエルと「対立」するよう促した。
注目すべきなのは、イスラエルの選挙の1週間前にパレスチナ人の死傷者が増加しているということだ。
「候補者らは、最多得票数を獲得するため、パレスチナ人に強硬な姿勢を取っているように見せたい。だからこういう事態になっている」。
パレスチナ人の大多数はそう確信している。
イスラエル軍は、死者を伴う急襲への対応を恐れ、選挙前に厳戒態勢を宣言した。
イスラエルの治安筋によると、ヨルダン川西岸地区やイスラエル地区では、攻撃に対する警告の数が増えているという。
一方、ヨルダン川西岸地区にいる外国の外交官らは、この2週間の同地区の治安状況の悪化に関して深い懸念を表明している。
葬儀に参列した、ファタハの幹部であるタイシル・ナスララ氏はアラブニュースに対し、次のように述べた。
「数千人の市民がナブルスの殉教者の葬儀に参列した。これは、イスラエルの占領に対する抵抗をパレスチナ人が支持しているという強力なメッセージだ」
イスラエルによるパレスチナ人への圧力が強まれば強まるほど、パレスチナ人の抵抗は強まる、と同氏は述べた。
「パレスチナ人に武力を行使してもイスラエルの利益にならないし、イスラエルもパレスチナ自治政府も、武力ではパレスチナの一般大衆の願望に対抗できない。このことをイスラエルは理解しようとしない」
「抵抗運動組織の若者たちは、あらゆる武器や技術を持つイスラエル軍を恐れていない。むしろ彼らは、同胞を殺したイスラエルに復讐するよう呼び掛けている」とナスララ氏はアラブニュースに語った。
「イスラエルは25日午前0時過ぎに、1人の指名手配犯を殺すために急襲を行ったが、5人が殺されてしまった。そのうち4人はイスラエルの作戦の標的ではなかった」と同氏は付け加えた。
「パレスチナ人は占領を拒否しており、イスラエルとの広範囲にわたる長期的な武装衝突の用意ができている。イスラエルはこのことを理解しなければならない」とナスララ氏は述べた。
イスラエル国防軍は今年、ヨルダン川西岸地区と東エルサレムで129人のパレスチナ人を殺害している。死亡者の大半は武器を持っていなかった。