
エルサレム:イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ元首相は11月1日、大接戦の選挙に臨む。
同氏が復権を目指すこの選挙の行方は、イスラエルに忠実でないと見なされる者の追放を求める極右政党からの支持に左右される可能性がある。
イスラエルがこの4年弱で5回目となる選挙を迎える中、有権者の怒りが投票率に悪影響を与える可能性はあるものの、超国家主義政党「宗教シオニズム」や同陣営の扇動的指導者イタマル・ベン・グヴィル氏への支持の高まりが選挙戦を活気付けている。
イスラエル歴代最長期間首相を務めたネタニヤフ元首相は汚職容疑(本人は否定)で公判中だが、同氏率いる右派政党リクードは国会の第一党となる見込みだ。
ただ、先週発表された最終世論調査によると、リクードは120議席のクネセト(国会)の過半数に必要な61議席にはまだ届いていないため、政権樹立は連立交渉に委ねられる可能性があり、交渉に失敗すれば再選挙も見えてくる。
退任する中道派のヤイール・ラピード首相が連立政権からの離脱に続いて早期選挙を求める決定を下したことで始まったこの選挙戦における有権者の最大の関心は治安や物価高騰にある。
またこの選挙戦は、占領下のヨルダン川西岸地区においてここ数ヶ月暴力事件が増加しているという背景のもとで行われてきた。
ただ、政策論争の影を薄くしているのは、ネタニヤフ氏の特異なパーソナリティーだ。
同氏が2019年に収賄、詐欺、背任の容疑で起訴されて以来続く公判は、イスラエルの政治システムを阻害している行き詰まりを悪化させている。
ネタニヤフ氏の法的問題が続く中、ベン・グヴィル氏や同じく極右のベザレル・スモトリッチ氏がリクードの伝統的なタカ派基盤に侵食し、かつては少数勢力だった「宗教シオニズム」が今や国会の第3党になろうとしている。
イスラエルと米国のテロ組織監視リストに登録された「カハ」の元党員であるベン・グヴィル氏は、かつての姿勢をある程度は軟化させているが、ネタニヤフ氏率いる連立政権に同氏が参加する可能性は米国を警戒させる危険性がある。
ラピード首相は、前回の選挙後に右派、中道派、そして初めてアラブ系政党を加えて樹立された異例の連立政権のもとでの外交の進展や経済政策の実績をアピールしながら選挙戦を闘ってきた。
ロイター