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ロシアのミサイル攻撃で各地が停電する中、ウクライナの港から穀物船が出航

ボスポラス海峡通過を待つ貨物船に乗り込む共同調整センター職員。2022年10月31日、トルコのイスタンブールのイェニカプ沖。(ロイター)
ボスポラス海峡通過を待つ貨物船に乗り込む共同調整センター職員。2022年10月31日、トルコのイスタンブールのイェニカプ沖。(ロイター)
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01 Nov 2022 09:11:28 GMT9
01 Nov 2022 09:11:28 GMT9
  • ここ3週間、ロシアは高価な長距離ミサイルと安価なイラン製「自爆ドローン」を使用してウクライナの民間インフラを攻撃している
  • シュミハリ首相によると、ウクライナの10地域の18ヶ所がミサイルやドローンの攻撃を受けており、その大半がエネルギーインフラだという

キーウ:ウクライナの戦争が続く中、ロシアが穀物輸出の安全確保のための国連プログラムへの参加を停止したことをよそに、穀物を載せた船が31日にウクライナの港から出航した。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、7月に国連とトルコの仲介で成立した、世界市場への食料供給の維持を目的としたこのプログラムを引き続き実施する意向を明らかにした。

同大統領は記者会見で、「ウクライナが世界に何を提供しているのかを我々は理解している。食料生産市場の安定を提供しているのだ」と語った。

しかしロシアは、ウクライナがロシアに対する軍事作戦を実行するために利用しているとして、黒海の安全回廊を船舶が通過することは「容認できない」と述べた。

ロシア国防省は、ウクライナがこの回廊を軍事目的に使用しないことに同意するまで、この地域の安全を保証することはできないとした。

ウクライナはそのような目的を否定している。

しかし、船舶がこの回廊を使用し続けた場合にどのような対応を取るかについては明らかにしなかった。

また、ロシアは合意から離脱するのではなく一時的に停止するだけと強調した。

ロシアは29日、黒海艦隊がウクライナのドローン攻撃を受けたして、穀物輸出合意への参加を停止すると発表した。

一方、2月24日にロシアがウクライナ侵攻を開始してから250日目に当たる31日、ロシアのミサイルがウクライナ各地に降り注いだ。

キーウでは爆発音が響き渡り、黒煙が空に立ち上った。

ウクライナ当局によると、水力発電ダムなどのエネルギーインフラが攻撃を受け、電力、熱、水の供給が停止した。

ウクライナ軍は、ロシアのミサイル50発のうち44発を撃墜したと発表した。

しかし当局によると、攻撃によりキーウの80%で水道が停止している。

ウクライナ警察は、今回の一連の攻撃で13人が負傷したと発表した。

「食料の流れを止めてはならない」

それでも、ウクライナの港からの食料輸出の再開により、世界の飢餓が深刻化する可能性がひとまず回避された。

国際機関関係者は、ロシアが再びウクライナの穀物輸出経路を封鎖するのではと恐れていたのだ。

31日、穀物輸出プログラムを調整する国連職員のアミール・アブドゥラー氏は、「民間の貨物船が軍事標的となったり人質に取られたりすることがあってはならない。食料の流れを止めてはならない」とツイートした。

その直後、ウクライナは穀物船12隻が出航したことを発表した。

1日の量としては輸出プログラムが始まって以来最大となる35万4500トンの穀物が積載された。

トルコ国防省によると、フルシ・アカル国防相はロシアのセルゲイ・ショイグ国防相と電話会談を行い、穀物合意を継続することは非常に重要だと述べた。

ミサイル攻撃

31日の朝のラッシュアワーに行われたミサイル攻撃は、ロシアが今月ウクライナの民間インフラ、特に発電施設を標的として行ってきた戦術の繰り返しだ。

ブリジット・ブリンク駐キーウ米大使は次のようにツイートした。

「何百万人ものウクライナ国民と同様に、我々在キーウ米大使館 @USEmbassyKyiv のチームも再び避難している。ウクライナの人々を標的にロシアが続けている無慈悲で残酷なミサイル攻撃は、冬が近づくこの国を寒く暗くすることを狙っている」

ここ3週間、ロシアは高価な長距離ミサイルと、標的に向かって飛行し爆発する安価なイラン製「自爆ドローン」を使用してウクライナの民間インフラを攻撃している。

ウクライナのデニス・シュミハリ首相によると、31日にはウクライナの10地域の18ヶ所がミサイルやドローンの攻撃を受けており、その大半がエネルギーインフラだという。

ウクライナ第二の都市ハルキウでは攻撃により停電が発生した。イホール・ポロヴィコフさんが運転していた、電気ケーブルから動力を得るトロリーバスは立ち往生した。

彼は、「うんざりしましたが、そんな風に投げ出す人は誰もいません。9ヶ月目だから皆慣れてしまいました。これが必要なことは誰もが理解しています」と語った。

「世界を脅迫している」

ロシアは、ウクライナが29日にクリミア半島のセバストポリ港を爆撃しロシア海軍の艦隊に損害を与えたとしたうえで、黒海の穀物輸出合意からの撤退を余儀なくされたと発表した。

ウクライナは、ロシアの黒海艦隊のクリミア基地に対するこの爆撃への関与を肯定も否定もしなかったが、ロシア海軍は正当な軍事標的であると述べた。

ロシア側は、水中ドローンと空中ドローンによる一連の攻撃が爆発の原因だと主張した。

米国は、ロシアが穀物輸出プログラムへの参加停止を発表したことを受け、食料を武器として使用していると非難した。

ゼレンスキー大統領は、ロシアは「飢餓で世界を脅迫している」と述べた。ロシアはそれが目的であることを否定している。

ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、ロシアが輸送の安全を保証できなくなったため、国連仲介の合意の継続は「ほぼ実現不可能だ」と述べた。

ウクライナとロシアはともに世界最大の食料輸出国だ。

国連仲介の合意によりここ3ヶ月、ロシアによる事実上の封鎖が解除され、ウクライナから輸出された食料が市場に届くことが保証されてきた。

31日の朝、ロシアがこの合意から撤退するというニュースを受けて世界の小麦価格は5%以上高騰した。

31日に出航した穀物船には、干ばつに苦しむアフリカに4万トンの穀物を届けるために国連世界食糧計画が調達した船も含まれていた。

同じく31日、ロシア国防省は、ウラジミール・プーチン大統領が9月に発表した軍の部分動員が完了し、今後さらに招集通知が出されることはないと発表した。

プーチン大統領は9月21日、戦場におけるウクライナの優勢に対する一連の強化策の一環として、第二次世界大戦以降初となる動員を発表していた。

ショイグ国防相は当時、約30万人が追加動員の対象になると述べた。しかし、動員を進める中で混乱が起きたほか、動員を避けようと数千人が国外に逃れた。

AFP

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