
レバノン、ベブナイン:マルワ・ハレドさんの10代の息子はレバノンの北部貧困地域で汚染された水を飲んだ後コレラで入院した――それでも彼女は同じ汚染された水を買い続けている。それ以外に買える水がないからである。
「誰もが(その水が汚染されていると)知っていますが、他に選択肢がないのです」35歳のハレドは彼女の息子のそばに立って語った。彼女の息子はコレラ野戦病院で寝たきりになっている。
「結局は誰もがコレラに感染します。」
先月レバノンはリハニエの近くのシリア難民キャンプで1993年以来最初のコレラ症例を記録した。20キロ離れたシリアでの発生から数週間後のことだった。
現在世界保健機関は、レバノンが3年間の経済破綻に伴う老朽化したインフラ、劣悪な衛生状態、清潔な水の利用の制限に苦労するなか、水系感染症が「急速に」拡大していると警告している。
国内で記録された400以上の症例のうち4分の1以上がハレドさんの故郷のベブナインからである。そこでは国が清潔な水を提供できずにいることから住民は安全ではない水源を利用している。
保健省が2,400以上の感染疑いおよび感染確定を記録しており、症例の実際の数ははるかに大きいかもしれない。
6人の子の母とその家族が近所の井戸と水源から汚染された水を飲み、トラックで自宅に運ぶ。彼女らには流水が手に入らず、ボトルに入った水を購入する余裕がないからである。
レバノンの北部の見捨てられた地域の大半と同様にベブナインは老朽化したインフラと政府の怠慢に苦しんでいる。
その町の住民の4分の1はみじめな暮らしをしているシリア難民である。
北レバノン水機関のエンジニア、タレク・ハムド氏によると、8万人が暮らす過密都市であるベブナインの世帯のうちわずか500世帯が国の水道施設に登録されている。
しかしこれらの世帯でさえ24時間体制で水の供給を受けているわけではない。
下水により汚染されたナハルアルバード川の支流が町を通るがコレラに汚染されており、また近くの井戸と水源も汚染していると、野戦病院院長ナーヘド・サアデディン氏は語った。
毎日およそ450名の患者が来院して治療を受けると彼女は語った。
汚染された水流は「その地域のすべての作物に水を届けます……井戸やタンク、泉がそこから水を引いています。水ろ過地でさえもそうです」とサアデディン氏は語った。
コレラは一般的に汚染された食料や水から感染し、下痢と嘔吐を引き起こす。
適切な下水や飲料水システムを欠く居住地域においても拡大する可能性がある。
その病を根絶するには「インフラを変革し、井戸と水源を改善しなくてはなりません」とサアデディン氏は語った。
「長期的なソリューションが必要です。それがなくては、遥かに多くの災害に見舞われるでしょう。」
WHOによると、その病は治療しなければ数時間以内に患者を死に至らしめる可能性があるが、感染者の多くは無症状もしくは軽症となる。
経口補水液によって容易に治療可能であるが、より重症の場合は点滴と抗生物質が必要となる場合がある。
AFP