
アラブニュース
シャルムエルシェイク:エジプトで開催中の国連の気候変動会議(COP27)で、アフリカ・カリブ海諸国首脳が演説を行い、さらなる資金提供と技術支援をより富裕な国々に要求した。
紅海に面する都市シャルムエルシェイクで開かれているCOP27の席上、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領はアフリカ大陸全体が今や気候変動の影響を被っていると述べた。
ラマポーザ氏は、アフリカは気候変動への適応能力を高める必要があるとしながら、同時に持続可能性に関する目標達成のための多国間協力を要請した。
「多国間支援は、融資政策や貸付条件がネックとなり、世界人口の大半には届きません。必要なのは、グラスゴー会議での2025年までに気候変動への適応支援額を倍増させるという決定を守るための明確なロードマップです」とラマポーザ大統領は昨年スコットランドで開催されたCOP26に言及しながら述べた。
今年のCOPの開幕にあたって、参加各国は会議史上初めて、主要議題に「損失と損害」の問題を含めることで合意した。
この問題を認めることで、経済的に豊かで環境破壊への関与も大きい国々は、より貧しく、わずかな量の温室効果ガスしか排出していないにもかかわらず、激甚化する洪水、干ばつ、海面上昇によって気候変動に由来する損害を不可避に被る国々に補償金を支払わなければならない可能性が出てくる。
気候サミットの場でアラブニュースの取材に答えて、サウジアラビアのアーデル・アル・ジュベイル気候問題特使は気候変動の問題は感情ではなく、科学的事実に基づいて対応しなければならないと説いた。
「我が国はこれまで常に、気候変動に関する議論は感情ではなく、論理と科学に基づいて行われなければならないと主張してきました。というのも、我々の信じるところでは、これらの問題の解決策は存在するからです。知性と資源を結集し、それらを行動に移せばです。そして、我が国の行動を見れば、それは明らかであると考えます」
再生可能エネルギーの問題に言及して、アル・ジュベイル氏はサウジアラビアが世界で最大のグリーン水素の輸出国となろうと努力している事実こそ、同国が環境問題に強い関心を抱いている証拠だと語った。
「我が国は世界で最大のグリーン水素の輸出国となる計画を持っています。世界の気候変動に取り組むにあたり、我々は単に貢献するのではなく、効果的にそうしたいと考えています」
アル・ジュベイル氏はまた、サウジ・グリーン・イニシアチブおよびミドルイースト・グリーン・イニシアチブの立ち上げは気候変動への対処を支援するために必要な方策だと付け加えた。
「サウジアラビアは、ミドルイースト・グリーン・イニシアチブを通じて、中東諸国を動員するにあたり、指導的役割を果たしています。このイニシアチブは、二酸化炭素排出量を削減し、酸素生成量を高めるために砂漠化と闘い、植樹を進めるという点で世界でももっとも野心的なプロジェクトです」
アル・ジュベイル氏はさらに、サウジアラビアは環境問題に取り組むために60以上のイニシアチブを開始しており、そこには廃棄物のエネルギーへの転換、都市の緑化、国土の30%を動植物の自然生息地として保護・保全を行うことなどが含まれているとした。
東地中海・中東気候変動イニシアチブの開始に際して、エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は地球温暖化に対抗するための政策は非政府組織との協力の下で行われなければならないと発言した。
エルシーシ大統領は続けて、科学界はこのイニシアチブにおいて重要な役割を担うこと、この点で他の組織とは一線を画するとも述べた。
「この点で国や政府に第一の責任があるのは当然ですが、他の非政府団体も協力と参加の原則を目指し、それぞれの責任と職務に基づいてこれを補い、支援しなくてはなりません」
「我々が今日そのために集まっているイニシアチブを他のイニシアチブや努力と分けるのは、それが包含する科学的要素で、これは気候変動に立ち向かう努力を、現在利用できる最高の科学研究と連動させるために不可欠の要素です」
エルシーシ氏は、この地域は近年、森林火災から洪水、集中豪雨に至るまで、人名と経済の面で多くの被害を出した深刻な気候災害に見舞われてきたと述べた。
「我々は、各国が気候変動問題をターゲットとした政策調整の枠組み内でこのイニシアチブを実行することに信頼を置いています」
「ご存じの通り、この地域は気候変動の影響と、それに由来して起きるあらゆるレベルの破壊的な災害に対して、世界でもっとも脆弱な場所の一つなのです」とエルシーシ氏は付け加えた。
だが、アフリカとカリブ海諸国の首脳は、これらの国々は気候変動に対処するためには緊急の財政支援が必要だと主張した。
COP27で行った演説で、ブルンジのエヴァリスト・ンダイシミエ大統領は、アフリカ諸国にとってはエネルギー移行を進めるための十分な資金援助が不可欠だと訴えた。
「ブルンジは、国連と国際金融組織に対して革新的な金融の仕組みを創始するよう求めます。その仕組みにはグリーンボンドや大規模な金融面での保証が組み込まれていなければなりません」とンダイシミエ大統領は述べた。
ガーナのナナ・アド・ダンクワ・アクフォ・アド大統領は「世界の金融構造の根本的な再構築」を求めた。
大統領は「アフリカが敗北するとして、勝者は誰もいないのです」とも付け加えた。
一方、アンティグア・バーブーダのガストン・ブラウン首相は会議の参加者に対し、補償金は世界が気候変動に関する目標を達成する一助となると述べた。
「損失と損害の問題は、論争的な視点から見られるべきではありません。脱炭素化を推進する方策として考えられるべきなのです」とブラウン首相は述べた。
「我々はこの会合で、損失と損害に対する対応策を確立しなければなりません。議題として採用されるだけでは、たった一歩前進したに過ぎないのです。2024年までに、基金設立が実現することを期待しています」
ブラウン氏はまた、人類は有害物質の排出量削減のため、共同で行動を起こす必要があるとし、化石燃料企業を批判した。
小島嶼国連合の39カ国を代表して発言したブラウン氏はさらに、石油会社に超過利得税を課して、発展途上国が気候変動によって引き起こされた自然災害から受けた損害への補償に充てるよう求めた。
「これらの企業が得ている利益に対して、世界COP炭素税を課し、損失と損害の補填の資金源とするべき時です」とブラウン氏は主張した。
「彼らが利益を得ている一方で、地球は燃えているのです」
11月7日、バルバドスのミア・モトリー首相は損失と損害を補償する資金として、石油会社に10%の税を課すべきだと呼びかけた。
8日に開かれた東地中海・中東気候変動イニシアチブの会合では、イラクのアブドルラティフ・ラシド大統領が気候問題に関して行動を起こすべき時が来たと述べた。
「私の考えでは、これらの問題に取り組むために必要な情報と知識、技術は十分揃っています」とラシド氏は述べ、すべての国が計画の実施を支援し、解決策を提案する必要性を強調した。
「必要な資金を確保して実行に移すには、時間がかかるでしょう。気候に影響を及ぼす要因には直接的なものと間接的なものがあり、例えば人口増加は直接的要因です」とラシド氏は続け、
「我々は新しい技術を用い、新しいシステムを手に入れなければなりません…将来の水の浪費を抑えるためにです」と付け加えた。
キプロスのニコス・クイヤリス農業相は、中東地域は科学界から世界の気候変動の危険地帯と見なされているとした上で、協調して行動することが必要だと述べた。
「健全な科学的知識に基づいた行動は、中東地域の気候変動問題に対処するために必要なものです」と大臣は発言した。
キプロスのニコス・アナスタシアディス大統領はこれに同意して、「未来のより良い環境を実現するために、我々が早急に、協力と協調の下で行動することを疑いません」とした。
ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相は、エネルギーの安全保障が依然第一の懸念事項だと述べた。「我々はアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領とより効率的にエネルギーの移送を進めるための関連プロジェクトについて議論しました。この地域で利用するためだけでなく、欧州市場への輸出も念頭に置いています」とミツォタキス首相はした。
また、ヨルダンのビシェル・アル・ハサーウネ首相は気候変動による環境、食糧、人口への影響を指摘した。
「それらは日々増大しており、将来的な大惨事を予告しています。それが、我々がこれら気候変動の影響に立ち向かうためのイニシアチブを開始しなければならない理由なのです」
「ヨルダンは、包括的解決策に従い、そのためにあらゆる方策を取ること、国家的野心を追求しながら環境に配慮した成長を実現することを誓います」