
カイロ:エジプトにとって、持続可能な農業廃棄物処理は長年の課題である。
2012年に政府が収穫終わりに稲わらを燃やすことを禁止したものの、農民は廃棄物を燃やし、毎年分厚い黒雲がエジプトの空を覆う。
カイロのアメリカ大学の統計によると、エジプトでは毎年推定2200万から2600万トンの農業廃棄物が燃やされている。
農業廃棄物は畑で燃やされる以外に、健康問題を引き起こし環境を破壊する可能性のある旧式のオーブンの燃料としてもよく使われる。
エジプトの農業廃棄物の種類と量は、農家がその時々で最も利益の出る作物を栽培するため、年ごと、また村ごとに異なる。
廃棄物量が最大の5つの作物は、米、トウモロコシ、小麦、綿、サトウキビである。
この10年間、政府と市民は農業廃棄物の削減に関心を向けてきたが、まだすべきことは多い。
カイロの代表的な反廃棄物活動家の1人、Enas Khamis氏は2007年に時代に先駆けて廃棄物削減工房El Nafezaを設立した。
「農業廃棄物処理は、エジプトの空の汚染の大きな原因です。しかし、廃棄物の多くは再利用することができます」とKhamis氏は話した。
彼女の社会的企業は、廃棄された大量の稲わらを人類と環境両方にとっての資源へと変えている。また、この工房は障害を持つ人々を訓練して雇用し、稲わらを紙製品にリサイクルして全国で販売している。
El Nafezaの工芸品販売で得られた利益は、若者や女性、障害を持つ人々向けに製紙技術を利用して農業廃棄物から製品を作る方法を教える工房を経営していくために使われる。
「こうした人々を力づけ、尊厳ある生活が送れるように技術を教えることが重要です」とKhamis氏は言う。
El Nafezaは、稲わらとブルーロータス、バナナの茎を扱うスキルをはじめとする芸術技術を教え広めるための専門トレーニングセンターを設立した。
「手工製紙業は貧困地域での非伝統的な収入源と考えられており、これらの製品の発展はエジプトの失業問題の解決に一役買うでしょう」とKhamis氏は話した。
カイロのEl Nafezaの工房では、紙や封筒、ノート、手作りカード、額縁など150以上の手工品を制作する。
Khamis氏は地元の人と観光客との両方を相手にするこのブランドにとって、この工房がマーケティング手段になると期待している。
「私たちの製品をそこで販売しやすいのは、お客さんから制作過程がよく見える方が良いからです。どんなに特色があり、職人技術が用いられている製品なのかを目にすることができます」と彼女は言った。
Khamis氏は、製品を国際的に販売するためのビジネスおよびマーケティング戦略に取り組んでいる。
「ドイツ、イタリア、米国などの多くの国に製品を輸出する計画があります」
「ここにはすでに美しくユニークな製品があり、より良いものになっていく見込みもあります。現在の最大の挑戦は、製品を販売し市場を広げることです」と彼女は話した。
本記事は、アラブ地域の状況を変えていく可能性を探るというUAE首相兼ドバイ首長のビジョンの下でMohammed bin Rashid Al Maktoum Global Initiativesとビル&メリンダ・ゲイツ財団が創設したMiddle East Exchangeのパートナーとして、アラブニュースにより発行されました。