
モハメッド・ナジブ
ラマッラー:13日に新政府樹立の権限を得たイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ウクライナへの武器供与をやめる可能性が高く、ヤイール・ラピード前首相の任期中に損なわれたロシアとの関係を強化することも考えられる。アナリストが指摘した。
「エルサレム公共問題センター」の上級研究員であるヨニ・ベン・メナヘム氏はアラブニュースに対し、ネタニヤフ首相は親ロシア的立場を取ってイスラエルとロシアの関係修復を図るだろうと語った。
また、11日にウクライナが国連でパレスチナを支持する票を投じたことにイスラエルは失望していると指摘した。
イスラエル外務省は、ウクライナ大使を呼び出して非難し、国連でのウクライナの行動とイスラエルに対する立場に公式に抗議するものと見られる。
11日にウクライナがパレスチナを支持する票を投じたことは、ウクライナの立場に対するネタニヤフ首相の怒りを掻き立てる結果となった。
「だから同首相は彼らが欲しがっている武器を供与しないと思う」とベン・メナヘム氏は語った。
同氏は、ネタニヤフ首相は選挙運動中にウクライナを支援すると発言したが、イスラエルはロシアと良好な関係を維持する必要があるため、公約を守るとは限らないと指摘した。
イスラエルがシリアにあるイランの拠点を爆撃することをロシアが許可したという背景があるのだ。
同氏によると、イスラエルのソーシャルメディアサイトはウクライナの立場に批判的で、国連でパレスチナを支持する票を投じたことは「ウクライナを支援し難民を受け入れているイスラエルの恩を仇で返す」ものではないかとの声が上がっているという。
ウクライナはイスラエルに対し防空システム「アイアンドーム」を売却するよう求めているが、ロシアはイスラエルに対しウクライナに武器を供与しないよう数回にわたって警告してきた。
10月17日、ロシア安全保障会議のドミートリー・メドヴェージェフ副議長は、ウクライナに武器を供与するイスラエルの計画は無謀だと述べ、両国の関係を全て破壊してしまうだろうと強調した。
10月22日、リクード党のネタニヤフ党首はUSAトゥデイによるインタビューの中で、自分が次の首相になったらウクライナへの武器供与の可能性を検討するつもりだと、以前の発言と明らかに矛盾することを述べた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はイスラエルに対し、ミサイル迎撃に特化した「アイアンドーム」システムなどの武器を供与するよう繰り返し求めている。
ナフタリ・ベネット氏とラピード氏が率いていたイスラエル体制は、ロシアの逆鱗に触れることを恐れてゼレンスキー大統領の要請に応じていなかった。
シリアにあるイランの軍事目標へのイスラエル空軍による空爆をロシアが容認しているという事情があるのだ。
今回の外交的動きの背景には、ヘルソン近郊でウクライナ軍がイスラエル製装甲車両を使用していたという主張が出てきて、イスラエルから直接受け取ったのか第三者から入手したのかという憶測が飛び交っていることがある。
その装甲車両の画像と動画は、ウクライナがヘルソンを奪還した日に公開された。
イスラエル放送協会系列の公共テレビチャンネルKANは、耐地雷装甲車両「アミール」の動画と画像を放送した。
これらのメディア報道から、ヘルメットや防護ジャケット以外の武器を提供するようにとのウクライナからの要請にイスラエルが応え始めるのではとの疑問が持ち上がっている。
KANはヘルソンで撮影された車両の写真を紹介し、イスラエルのアミールと比較して「非常によく似ている」と報じたという。
この写真は、ウクライナが使用している武器を追跡しているツイッターアカウントが、ヘルソンおよび周辺の村でウクライナ軍が使用しているイスラエルの装甲車両の写真だとして公開したものだ。
イスラエル国防省もアミールを製造するイスラエルの民間会社もこれらの報道についてコメントしていないが、欧州の国か企業がこの車両を購入してウクライナに供与した可能性があるとされている。
アミールは、イスラエル北部ハイファのキリヤット・ティボン地区にあるガイア自動車工業が製造している。
兵士12人の輸送、戦場からの負傷者の搬送のほか、弾薬などの兵器14トンの運搬が可能だ。
商用車のフォードF550のシャーシをベースに作られており、独立懸架式サスペンションを持つ。