
パリ:イランによるデモ弾圧やロシアへのドローン売却によって、イランがこれまで拒否してきた核合意復活から米国の関心は遠ざかった。米国のイラン担当特使が14日に述べた。
ロバート・マレー特使はパリで記者団に対し、米国は「もしかして」時機が来た時のために外交を再開する可能性は残しておくが、現時点では制裁と圧力という政策を続けると述べた。
イランと主要国との間の2015年の核合意の復活に向けた協議は9月以来行き詰まっている。欧米諸国は、全当事者が合意に近づいたと思われた後にイランが不合理な要求をしたと非難している。
マレー特使は、「交渉が行われないとすれば、それはイランの立場と、(9月以降に)起こった全ての事のせいだ」と述べた。
「我々の関心は、前進しない合意ではなく、イランで起こっていること(…)国民による運動と、体制による残忍なデモ弾圧だ。また、イランからロシアへの武装ドローン売却もある(…)我々の人質の解放もだ」。
人質とは、イランで拘留されている米国籍の3人のことを指している。
9月、マフサ・アミニさん(22)が警察に拘束された後に死亡した事件をめぐって反政府デモが勃発した。
EU、米国、カナダ、イギリスは人権侵害とロシアへのドローン売却を理由にイランに制裁を科している。
イランは核開発を続けており、最先端の遠心分離機を数百台設置した。
これらはウランを濃縮するためのもので、同国の濃縮能力は2015年の核合意で設定された上限を大きく上回ることとなった。
2018年に米国がドナルド・トランプ前大統領のもとで合意から離脱したことを受け、イランは2019年から合意の条項に違反し始めた。
2015年の合意では国際制裁の解除と引き換えにイランのウラン濃縮活動は制限されており、核兵器の開発は困難となっていた。
同国は核兵器獲得の意図を否定している。
マレー特使は、米国が現状を容認する期間を明らかにしなかったが、外交が失敗した場合は米国は他の手段を用いる用意があると述べた。
同特使は、「もしイランが核開発において新たな閾値を超える動きを見せたら、明らかに異なった対応を欧州の同盟国と協調して行うことになるだろう」と述べたが、詳細は明らかにしなかった。
「新たな解決策を見いだせるような魔法はないということだ」。
外交官らによると、マレー特使は15日にパリでフランス、ドイツ、イギリスの特使らと協議を行う予定だという。
ロイター