
ウィーン/ドバイ:国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は16日、イランの未申告施設で微量のウランが検知された問題をめぐる行き詰まりを解消するために、今月中に同国との会合が行われることを望むと述べた。イランの原子力庁長官がその会合は「予定にない」と発言したとの報道を受けたものだ。
グロッシ事務局長は「予定されているイランとの技術会合が行われることを望んでいる」とツイートした。
また、その直後の記者会見では、イランの国営メディアが伝えたモハマド・エスラミ原子力庁長官の発言への応答だったとしたうえで、同国はIAEAには直接そのようなコメントをしていないと付け加えた。
ウラン粒子の問題についてのIAEAによる数年にわたる調査は現在停滞している。双方はテヘランで会合を開くことで合意しており、IAEAは粒子が検知された理由について「技術的に信頼できる説明がイランからなされることを期待している」としている。
この問題は、2015年のイラン核合意の復活に向けた交渉の進展の障害となっている。また、35ヶ国で構成されるIAEA理事会の今週の会合において欧米主要国がイランを対象とした新たな決議を要求することを促した。今回は同国に対しIAEAの質問に早急に回答するよう求めている。
エスラミ長官の発言は、米国およびいわゆるE3(イギリス、フランス・ドイツ)が作成し今週理事会で採決される決議案に対する反応であるようだ。同様の決議は6月にも大差で可決されている。
イラン国営メディアによると、エスラミ長官はIAEA定例理事会初日の16日に次のように発言した。「今のところ、IAEAのイラン訪問は予定にない。イランの善意と論理的な回答を考えれば良い結果を期待できる。IAEAが専門的かつ非政治的な姿勢を示すのであれば」
また、イランが求められる回答と協力をIAEAに提供することが「不可欠かつ緊急であることをIAEA理事会は決定する」とする決議案をイランは拒否すると述べた。
グロッシ事務局長は、もし会合が実現しなければどうするかという質問に対し、次のように答えた。「その場合、ただでさえ悪い状況がさらに悪くなり、進展がなくなるだろう」
ロイター