
アンマン:世界的な経済危機のため、数百万人のパレスチナ難民に基本サービスを提供する国連機関、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を「危険ゾーン」にあり、任務を果たせなくなる可能性があると、同機関の代表が11月17日木曜日に述べた。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラザリーニ事務局長は、コスト高騰に伴う財源不足で、中東の570万人のパレスチナ難民の多く(その大多数にとってUNRWAは生命線である)を前例のない貧困レベルに追いやっていると指摘した。
ラザリーニ氏はロイター通信のインタビューで、「私たちの能力は低下しており、このままでは、ある時点で任務を遂行することができなくなる状況に達するでしょう…これは危険ゾーンです」と語った。
この地域を襲っていた複数の危機がウクライナ戦争の影響を受け悪化したことは、多くの支援国がパレスチナ難民の窮状の「優先順位を下げた」ことを意味すると同氏は付け加えた。UNRWAは、ガザ、ヨルダン川西岸、ヨルダン、シリア、レバノンで、学校、一次医療サービス、援助救済など、公共事業に近いサービスを提供している。さらに3年間の任務の更新は、年内に国連総会で採決される予定だ。
「この絶望と苦悩のレベルには心が痛みます」とラザリーニ氏は語った。同氏によると、レバノン、シリア、ガザにある過密なキャンプでは、貧困率が80%から90%に上昇しているという。
国連では、1日あたり所得2ドル未満を貧困と定義している。
UNRWAは、アラブ諸国とイスラエルとの第一次中東戦争後の1949年に国連の委任を受けて設立されたもので、数十年にわたるパレスチナとイスラエルとの紛争の解決に至らなかった国際社会の犠牲になってはならない、と同氏は付け加えた。
また、「臨時で作られたはずの機関が、75年近く経った現在でも同じ機能を持つというのは異常なことです」と同氏は付け加えた。
2018年のドナルド・トランプ前大統領による、年間3億4400万ドル以上に及ぶUNRWAへの全資金削減の決定を米国が覆したことで、同機関は大きな危機を回避した。
「機関にとって重要な支援の復活となり、現在のこの支援がなかったらどうなっていたか分かりません」と同氏は付け加えた。
米国は、今年度16億ドルを超える資金を要するUNRWAへの最大の支援国である、と同氏は付け加えた。
また同氏は、既に国際社会から見捨てられていると感じている難民にとって、必要不可欠なサービスをこれ以上削減することは、怒りを助長しさらなる不安定に向けた土壌を作るだけだ、とも述べた。
「非常に不安定な地域であるため、資金提供者は、この組織から資金を断てば空白が生じることを強く意識しており、このような地域では、その空白は私たちの中の誰一人望まないもので満たされるでしょう」と同氏は付け加えた。
また同氏は、支援国からの支援基盤を広げ、複数年の予算を組むことで、自発的な寄付への依存から脱却し、予測可能な資金調達経路に戻ろうとしている、と付け加えた。
同氏は、「月末までに給与を支払えるかどうか、月の半ばには分からないという状況です」と、従来の支援国も緊縮予算に向かっている来年の厳しい見通しを示した。
「支援国の方々には、私たちが弾力性を持ってやりくりしていることを当たり前だと思わないでほしいと言い続けています。もっと多くの寄付を集めなければ、私たちのサービスを完全な形で維持することができなくなる時が来るでしょう」とラザリーニ氏は述べた。
ロイター