岸田文雄首相は17日、感染力の強いオミクロン株の感染者が全国的に急増する中、新型コロナウイルスのブースター接種を2か月程度前倒しすると発表した。
岸田氏は国会で行った施政方針演説で、台湾に近い南西諸島周辺の防衛力を強化することに加え、北朝鮮のミサイル技術の著しい向上を見過ごすことはできないと述べた。
今年は参議院選挙が予定されており、感染拡大の阻止は岸田氏にとって極めて重要だ。前任者の菅義偉氏は、新型コロナ感染者の急増で支持率が急落したことを受けて、昨年退任した。
岸田首相は通常国会の冒頭で行った演説で、「岸田内閣は新型コロナウイルス対策を最優先の課題としている」と述べた。
岸田氏は、高齢者に対するブースター接種について、当初予定していた2回目の接種から8か月という接種間隔を3月以降は6か月に短縮すると述べた。また、一般の成人の接種間隔についても1〜2か月短縮する方針を示した。
オックスフォード大学のOur World in Dataプロジェクトによると、ブースター接種を受けた日本人は人口の1%未満で、英国の53%、米国の24%と比較して大きく遅れている。
岸田氏は今後の厳しいウイルスとの戦いを強調し、新型コロナ対策への国民の支持を呼びかけた。
岸田氏は、「新型コロナという見えない敵は、想定以上に手ごわいことを改めて認識しなければならない」と述べ、「専門家の
意見を伺いながら、過度に恐れることなく、最新の知見に基づく対応を冷静に進める覚悟だ」と続けた。
島しょ防衛
安全保障政策について岸田氏は、日本の4つの主要な島のうち最も南に位置する九州から台湾まで続く南西諸島の守りを固めるため、日本の島しょ防衛能力を強化する方針を示した。
中国の習近平国家主席が民主的に統治されている台湾に対して自国の主権を強く主張する中、台湾をめぐる緊張は高まっている。
安倍晋三元首相は先月、台湾の有事は日本の有事で、日米同盟の有事でもあると述べた。
また、岸田氏は次のように述べ、北朝鮮のミサイル発射に対して断固として立ち向かう日本の姿勢を示した。
「北朝鮮が繰り返す弾道ミサイルの発射は断じて許されず、ミサイル技術の著しい向上を見過ごすことはできない」
北朝鮮は今年、弾道ミサイルの発射を繰り返すなど、異例の速さで立て続けに武器の試験を実施している。
ロイター