



モハメッド・ナジブ
ラマッラー:ベツレヘムは来月、世界中から何万人もの観光客が訪れると予想される「際立った」クリスマスの祝典の準備をしている。パレスチナ自治政府高官が明かした。
ヨルダン川西岸地区の中心都市であるベツレヘム市は、キリスト教徒にとって宗教的、歴史的に特別に重要な都市だ。同市とパレスチナ自治政府の観光担当省はこのほど、「ベツレヘムから世界へ―クリスマスの精神が私たちを結びつける」と題して、今年のクリスマス向けの各種活動を立ち上げた。
ベツレヘム市のハンナ・ハナニア市長は次のように話した。「世界中の視線が今、幼いイエスの誕生を記念する祝祭を準備するベツレヘムに向けられている」
また同市長は、現在の世界的な危機にもかかわらず、このイベントは信仰心が篤く、平和を愛する人々を団結させ、すべての人の自由と尊厳を促す機会を提供すると強調した。
また、ハナニア氏は、聖地を巡礼することで、訪問者がパレスチナの存在を支持していることを示してきたと指摘した。
同氏がアラブニュースに語ったところによると、ベツレヘム市は4ヵ月前から今年のクリスマス向け祝祭の準備を本格化させてきたという。
今回のクリスマスは、ベツレヘム市制施行150周年と、キリスト降誕教会のユネスコ世界遺産登録10周年の年に行われる。
同氏は次のように続けた。「ベツレヘムが喜びの新しいスーツを身にまとい、市民の心には久しぶりに希望が戻っている。今年は、際立ったクリスマスになることを期待している」
「ベツレヘムとその聖地は、どのような代償を払っても得られない平和の祝福を切実に必要としている。その最高の代償とは正義だ。人々の間に正義と愛がなければ、平和は実現できない」(ハナニア氏)
また同氏は、12月3日のツリー点灯式やクリスマスマーケットをはじめとして、ベツレヘム平和センターや市内各所で関連イベントを開催し、楽しい雰囲気の中でクリスマスの特別なお祝いをすることが、自治体としての目的だったと付言した。
パレスチナ自治政府のルーラ・マアーヤ観光・遺跡庁長官は、今年は観光客が急増していると述べた。新型コロナウイルスによるパンデミック後の観光客数が既に60万人に達しているほか、来月にはさらに10万人が見込まれており、ホテルの客室稼働率も80%にまで上昇しているという。
パレスチナ・ホテル協会の会長で、ベツレヘムホテルのオーナーでもあるエリアス・アル・アルジャ氏はアラブニュースの取材に対し、クリスマス休暇と新年の期間中、ベツレヘムの多くのホテルが満室になると予想している、と述べた。
アル・アルジャ氏はここ数ヵ月、パレスチナ観光担当省の支援を受け、ベツレヘムのホテルのオーナー数人とともに、スペイン、イタリア、ルーマニア、英国、トルコの国際観光展示会でベツレヘムのプロモーションを行ってきたという。
「今年の早い時期に、ベツレヘムにはクリスマスの雰囲気が漂い、私たちはその記念日の存在感を感じ始めていた」。同氏はこのように付け加えた。
アル・アルジャ氏は、キリスト教徒が多い人口約3万人のベツレヘム市の観光業が、パンデミックの影響を最初に受け、最後に回復したとも指摘した。
ベツレヘム市の経済の50%は観光に依存しており、市内には9,000人を収容できる計4,500室のホテル56軒のほか、約100軒の東洋古美術店、400の伝統工芸工房、そして20軒の大型レストランがある。
パレスチナ中央統計センターは、パレスチナの観光部門が2020年から21年にかけて、パンデミックにより15億ドルの損失を被ったことを明らかにした。
ベツレヘムにあるパレスチナ考古学・古代担当省ディレクターのジェリエス・クムシエ氏はアラブニュースに対し、同省は、今年はベツレヘムだけでなく、エルサレム、ナザレ両市の宗教、歴史遺産、観光の要素にも注目してもらおうと考えていると語った。