
モハメッド・ナジブ
ラマッラー:国連はイスラエルが国連職員への入国ビザ発給を拒否したことに懸念を表明した。
国連によると、これによってパレスチナでの人道的活動と人道諸団体のパレスチナ支援に支障が出る恐れがある。
国連のステファン・ドゥジャリク報道官は、この決定は人道諸団体のパレスチナ支援に大きな影響を与えると表明した。
「無論我々は、現在もイスラエル当局とこの件に関して接触しており、問題が解決されることを希望しています」とドゥジャリク氏は述べた。
イスラエル外務省はパレスチナ人による攻撃で死傷したイスラエルの民間人の数を「過小評価」しているとして、国連人道問題調整事務所(OCHA)の職員へのビザ発給を拒否した。
同外務省によると、イスラエルのサイトYnetでも報じられているように、OCHAの職員はパレスチナ側の作戦で殺害されたイスラエル人の数を数えているが、それを「テロ攻撃」の犠牲者とは見なしていない。
イスラエル外務省は次のように表明した。「OCHAはイスラエルの民間人死傷者数を疑わしい状況下で報告する一方で、パレスチナ側の主張する死傷者数をイスラエル国防軍とパレスチナ武装勢力の戦闘で生じたものも含めてそのまま受け入れ、責めをイスラエルに負わせている」
アラブニュースは国連、OCHA職員、イスラエル外務省にコメントを求めたが、回答はなかった。
パレスチナの人権団体、アル・ハックのシャワン・ジャバリン理事長はアラブニュースに対し、これまでも国連との協力を求められたにもかかわらず、国際調査員会や特別報告者がパレスチナ領内に入ることをイスラエルが禁じても国連が抗議せずこれを放置してきたことは非難に値すると述べた。
ジャバリン氏は、国連が過去の類似の件に関してイスラエルに抗議してこなかった以上、イスラエルがOCHAチームに入国ビザの発行を拒否しても「最早驚きではない」と述べた。
「OCHAは人道上の問題に関わる団体で、このビザ発給拒否はイスラエルから国連に向けたメッセージであり、その趣旨はこれまでも入国禁止を黙認した以上、いつかは一人の国連職員もイスラエルの許可なしにはパレスチナ領内に足を踏み入れることができなくなるのだというものです」とジャバリン氏はアラブニュースに語った。
イスラエル防衛省の占領地政府活動調整官組織は、外国人がパレスチナ領に入る際の手続きを変更し、到着日の1か月前にイスラエル外で入国ビザを取得するよう定めている。
ジャバリン氏によると、この方針変更はパレスチナ被占領地域におけるイスラエルの政策に批判的な国際機関の「作業と情報発信を阻止」する試みだという。
「イスラエルはこの方針変更により、国際世論の流れを変えて自分たちに批判が向かわなくなることを望んでいます。国連の沈黙は、イスラエルにとっては渡りに船といったところでしょう」とジャバリン氏は語った。
一方、12月9日に第1次インティファーダ(1987-1993)勃発35周年を迎えるにあたり、イスラエルの治安・軍事関係者は、ヨルダン川西岸地区で第3次インティファーダが起きる可能性があると警告している。
ヨルダン川西岸地区における治安の悪化は、イラン情勢に次ぐ火種である。
エジプトも、ヨルダン川西岸地区の治安悪化とイスラエルによるパレスチナ人殺害が深刻化していることに強い懸念を表明した。
今年に入ってから、ヨルダン川西岸地区では165人のパレスチナ人が殺害されており、ガザ地区でも54人の死者が出ている。
これに関連して、イスラエルのイタマル・ベン・グヴィル次期国家安全保障相は、パレスチナ人たちはまもなく未曾有の懲罰に直面するだろうと警告した。
12月9日、ベン・グヴィル氏はイスラエルのテレビ局のインタビューで、イスラエル入植地を含むパレスチナの土地を併合する構えを見せ、その結果パレスチナ人たちは政府も権利もない状態で放り出されるだろうと述べた。
ベン・グヴィル氏は、イスラエル国内、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区などの居住地によってパレスチナ人を区別するつもりはないと発言した。
氏はイスラエル国家にそむく者は誰でも追放されるべきであり、アル・アクサモスクをイスラム教徒とユダヤ教徒との間で分割すると述べた。
イスラエル・トゥデイ紙の著名特派員、ダナ・ベン・シモン氏はアラブニュースに対し、イスラエル治安当局による第3次インティファーダ勃発に関する予測は選挙による新政権発足とは無関係だと話した。
「それを第3次インティファーダと呼ぼうが、暴力の高まりと呼ぼうが、大した違いはありません。問題は、先月末エルサレムで起きた二重の爆弾攻撃などが起きている中、イスラエル治安当局が攻撃の規模と性質、展開に懸念を抱いているということなのです」と彼は付け加えた。