ナジャ・フーサリ
ベイルート:国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に所属するアイルランド兵1人が、レバノン南部の町アル・アカビヤでUNIFILの装甲車隊が住民と衝突した際に銃撃を受け、死亡した。
国連レバノン暫定軍司令部は、 14日遅くにアイルランド平和維持部隊の兵士1人が死亡し、3人が負傷したことを確認した。
レバノン国会は15日、新大統領選出のため10回目の投票を行ったが再び失敗に終わった。このため、今回の事態は、レバノンの安全保障上の懸念に拍車をかける形となった。
アル・アカビヤは、国連決議1701号に基づくUNIFILの活動地域であるリタニ南部地域の外側にあり、平和維持軍の任務の範囲外となっている。
今回のような発砲事件は初めてではあるものの、これまでもレバノン南部のいくつかの町では、兵士が私有地に立ち入ったり住宅街を撮影したりしたとされ、UNIFILと住民との間で争いが生じていた。
レバノンのシーア派イスラム主義組織であるヒズボラの支持者は、UNIFILの平和維持活動(PKO)の活動に対し、繰り返し異議を唱えている。
UNIFILのアンドレア・テネンティ報道官は次のように述べた。「レバノン南部のUNIFIL活動地域外にあるサラファンド近郊のアル・アカビヤにおいて昨夜発生した事故で、平和維持隊員1人が死亡、3人が負傷した」
この事件に関する一部報道は、UNIFILの車両がアル・アカビや付近で攻撃を受け横転したことを示唆している。付近の住民から、車両が私道を使用しているとの苦情があったとみられる。
ヒズボラのアルマナルTVによると、当時、装甲車列はリタニ川の北側をレバノンの護衛を受けずに走行中で、アイルランド兵の車両が、認可されている主要幹線道路から逸脱したという。
同テレビの報道によると、この車両はサッカーのワールドカップの試合を見るために路上に集まっていた若者のグループに衝突し、1人を負傷させたという。
この報道は次のように伝えた。「(アイルランド兵の車両は)停止するどころか、加速して他の車に衝突した。その際、車両が軽火器の銃撃を受けてひっくり返った。当該のアイルランド兵と轢かれた市民が病院に運ばれた」
アイルランド国防軍は、「兵士8人を乗せ、ベイルートに向かっていた装甲車2台の車列が、軽火器による銃撃を受けた際に」兵士が死亡したと確認した。
同軍は、負傷した兵士1人は重体で、事件後に手術を受け、他の軽傷の2人は手当てを受けたと述べた。
レバノン当局は直ちにこの事件を非難し、国連レバノン担当特別調整官のジョアンナ・ウロネッカ氏を含む国連関係者は、詳細な調査を求めた。
イアン・コラード駐レバノン英国大使は、「アイルランド兵殺害の責任者は、責任をとなければならない」と述べた。
レバノンのナジーブ・ミカティ暫定首相は、関係当局が事件を捜査する必要があるとしながらも、すべての関係者に対し、忍耐を示すよう促した。
ヒズボラの調整・連絡担当であるワフィク・サファ氏は、治安当局に対して事件の捜査を許可すべきだと述べた。
レバノンのアシュラフ・リフィ議員は次のように述べた。「UNIFILへの攻撃は、ヒズボラが『地元住民』の名の下に、レバノンとその安定に対して行った新たな犯罪である」
リフィ氏は、責任者は裁かれなければならず、「さもなければ、(この事件は)違法兵器の力を永続させ、レバノンの保証を担う決議1701号の最終的な停止につながる」と付言した。