アラブニュース
ロンドン:米国のジョー・バイデン大統領が先月行われた選挙集会の際にイラン核合意は「死んだ」と発言した様子を撮影した動画が公開された。タイムズ紙が21日に報じた。
米中間選挙を前にした11月4日に撮影されたとされるこの動画の中で、バイデン大統領は支持者の群衆の前を通り過ぎる際に身元不明の女性から呼び止められ、「バイデン大統領、JCPOA(包括的共同行動計画)は死んだと発表してくれますか」と頼まれている。
大統領は彼女に対し「ノー」と答え、「死んでいるが、我々はそれを発表するつもりはない。いろいろ事情があるんだ」と付け加えている。
賛同する他の人々と一緒にいたイラン系とみられるこの女性は、「私たちはムッラーたちとは取引したくないのです。いかなる取引もです。彼らは我々を代表していません」と応じた。
米国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報調整官は20日、記者団に対し、大統領の言い回しには賛同しないが、米政府は現時点ではイランとの協議には注力していないと述べた。
カービー調整官は、「JCPOAは関心の中心にはないというだけだ」と述べた。「アジェンダにはない。イランが国民を殺しロシアにUAV(無人航空機)を売り続ける中、交渉がすぐにまとまるとは思えないからだ」
イランの核開発の抑制を意図したJCPOAは元々、2015年に米国のバラク・オバマ元大統領の政権のもとで締結された。バイデン大統領は当時副大統領だった。
米国、中国、フランス、ロシア、イギリス、ドイツ、EUが署名し、イランが核開発を縮小するのと引き換えに同国への制裁が緩和された。
ドナルド・トランプ前大統領は2018年、JCPOAは「恐ろしい一方的な合意であり、成立させるべきではなかった」として米国を離脱させた。
バイデン大統領のもとでJCPOA復活の努力がなされてきたが、イランの非妥協的姿勢、2回目となる合意に対する米国やその他の西側諸国の熱意不足、イスラエルの断固とした反対などにより困難な状況となっている。