エファレム・ コッセイフィ
ニューヨーク:国連特別報告者として活動するヨルダンの人権専門家はリビア当局に対し、同国の女性・少女を「蔓延する暴力・虐待の連続的サイクル」から守るための緊急措置を取るよう求め、暴力・虐待に関与した者が「完全に免責されている」ことでそのサイクルに拍車がかかっていると指摘した。
国連の「女性に対する暴力に関する特別報告者」であるリーム・アルサレム氏は23日、次のように述べた。「リビアの女性・子供が直面している広範かつ組織的で深刻なレベルの暴力に深く心を痛めている」
「フェミサイド、すなわち様々な理由による女性の殺害が蔓延している。それらは私的・公的領域における身体的・経済的・政治的な家庭内暴力行為の形を取っている」
このコメントは同氏が8日間のリビア訪問を終えた後に出されたものだ。同氏はこの訪問中、「非リビア系の女性・子供が被っている極めて差別的・非人間的な扱いや、恐るべきレベルの拷問、性的暴力、身代金目的の誘拐、拘束、人身売買、強制労働、殺人」について詳述したレポートを受け取ったという。
アルサレム氏は、国民統一政府からの招待でリビアを訪問できたことは励みになるとしつつも、訪問中に遭遇した多くの障害について残念に思うと述べた。入国が遅れたこと、女性・少女が拘留されている刑務所や拘置所を訪問できなかったこと、入国前から計画していた同国東部での各所訪問を禁止されたことなどだ。
特別報告者は国連人権理事会のために個人の資格でボランティアとして活動する独立の専門家だ。国連職員ではなく報酬を得ることはない。
アルサレム氏は、女性・少女を対象とした犯罪に対する法的懲罰が十分になされていないのは、「政治的行き詰まり、安心・安定の欠如、統治・法治上の課題、リビアの国際人権義務に沿っていない問題のある法的枠組み」によるものだと述べた。
また、リビアにおける武装集団や兵器の蔓延が国境を越えた複合的な犯罪企業の利益になっており、ただでさえ「酷い状況」を一層悪化させていると指摘した。さらに、リビアで活動しようとしている市民社会組織や国際機関に対して「ますます制限が」課されていることにも懸念を表明した。
アルサレム氏は、女性・少女の保護をリビア当局が取り組む「あらゆる課題」の中の優先事項とするよう求めた。また、この問題により良く対処するには、当局は女性に対する暴力に関する2021年の法案の採択を含む法改革を優先しなければならないと指摘した。続けて、暴力犯罪の免責に終止符を打つことに加え、政府機関・女性組織への支援や女性の経済的地位向上・政治参加への支援を強化することを提言した。
さらに、「命の危険を冒して海路でリビアに渡航しようとする移民・難民の受け入れ拒否」をやめるよう求めた。
「公正な亡命手続き、避難の機会、母国への自主的な帰国へのアクセスの機会が拡大される必要がある」