
サイード・アル・バタティ
アル・ムッカラー: 今週、イエメンの政府掌握地域でイエメンリアルが急落を始めた。数日前に大統領指導評議会議長が、フーシ派による攻撃のせいで政府が公務員に給与を支払うことが不可能になるだろうと発言したことが影響した。
アデン、アル・ムッカラー、その他の解放地域では先週1ドル1170リアルだったのが27日には1200リアルで取引された。過去9ヶ月間の改善が帳消しにされた形だ。
4月には、国連仲介停戦が発効し大統領指導評議会が設立されたことを受け、リアルの価値は1ドル1260リアル前後から約13%上昇し1000リアルを超えた。
評議会が設立され、サウジとUAEがイエメン経済に30億ドルを拠出すると発表された後の数ヶ月間、リアルは回復を維持した。
ラシャド・アル・アリミ議長が先週、ハドラマウト県とシャブワ県の石油施設に対するフーシ派のよるドローン攻撃によって政府の主要収入源である石油輸出が停止したせいで政府が公務員に給与を支払うことが不可能になるだろうと警告したことが、今週のリアル下落開始に影響したようだとトレーダーは見ている。
イエメンではこれまで通貨下落が続き、ガソリン、輸送、食品、その他の必需品の価格が高騰したことで、ただでさえ悲惨な人道的惨状がさらに悪化し、国民数百万人が飢餓に直面した。
フーシ派は10月、政府が石油収入を同派に分配するとともに同派の支配地域の公務員(2016年末以降給与を受け取っていない)に給与を支払うようにという要求を飲ませるために、ハドラマウト県とシャブワ県の石油施設への攻撃を開始した。
「経済メディアセンター」所長であるムスタファ・ナスル氏は27日、アラブニュースに対し、現在のイエメンリアルの下落はフーシ派による攻撃から予想できたとしたうえで、中央銀行の外貨準備金が枯渇すればさらに下落する可能性があると指摘した。
同氏は次のように述べた。「これらの港からの石油輸出が停止したことから下落は予想できた。中央銀行にある程度の現金準備が存在するため、現在の下落の程度は正常な範囲に収まっている」
「ただ、もし中央銀行が通貨の売却を停止すれば破滅的なシナリオとなり、リアルは急激に下落するだろう」
イエメンリアルの価値は2015年初頭には1ドル250リアルだったが、2021年12月には史上最低の1700リアルを記録した。
政府はリアルの下落を食い止めるために、無許可の両替商や為替取引業者を閉鎖し、国内の貿易業者や輸入業者にドルを供与し、サヌアを拠点とする金融機関にアデンへの業務移転を要請するなどの措置を講じた。
国連が2023年のイエメンの人道状況について暗い予想をしたことも今回の下落の背景にある。人口3260万人のうちの2160万人(75%は女性と子供)が人道支援を必要とし1340万人には緊急支援が必要だと推定したのだ。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は、27日に発表された「人道ニーズ概況」の中で、イエメン国民のうち、不可欠な保健サービスを受けるための援助を必要とするのが2030万人、食料援助を必要とするのが1730万人、清潔な水を利用し基本的な衛生ニーズを満たすための援助を必要とするのが1530万人、栄養支援を必要とする子供が220万人になると予想している。
また、国外からの送金、外貨準備金、石油輸出の減少によりイエメンリアルの下落は来年も続くとしている。
OCHAのレポートは次のように述べている。「送金、石油輸出、外貨準備金の大幅な減少に、イエメン政府の財政構造の分裂が重なることが、イエメンリアルの継続的な下落の主因となるだろう」