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トルコ国籍を有するシリア難民が初めて兵役を務める

 アフメト・ハモ氏。(提供写真)
アフメト・ハモ氏。(提供写真)
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11 Jan 2023 04:01:56 GMT9
11 Jan 2023 04:01:56 GMT9
  • 徴兵制は難民申請者の受け入れについて議論を巻き起こしている
  • アフメト・ハモ氏(53歳)は志願して召集を受けた

メネクセ・トキャイ

アンカラ:53歳のアフメト・ハモ氏は自発的に当局に志願し、近時、トルコ兵役への召集令状を受け取った。彼はトルコ国籍を有するシリア難民として初めてトルコ国軍に徴収される者となる。

ハモ氏は2011年に勃発したシリア内戦のさなかに難民としてトルコにやってきた。国籍を取得した後、兵役に志願した。

ハモ氏は先週末、中部アマスィヤ県の部隊に合流した。

先週末、今回の入隊を前に、ハモ氏は別れを告げに訪れた家族や友人らと共に過ごした。

訪問客らは彼を肩に担ぎ、アラブの楽曲に合わせて踊った。

彼は記者団に対し、「私はトルコの国や国旗に敬意を感じます。母はトルコ系でした。幸いにも私は、トルコ国旗のもとで保護を受けることができます」と語った。

彼は、トルコ国籍を有するシリア難民として初めて、本人の希望により兵役に召集されることになった。トルコでは、ハモ氏の年齢での召集は珍しいことである。

トルコでは、20歳から41歳までの全ての男性国民に兵役が義務づけられている。

2019年に改正されたトルコ徴兵法によれば、トルコ国籍を有する難民への徴兵制度は、国籍を取得した年齢によって区分されている。

同法では、国籍を取得した外国人は、出身国においてすでに兵役を務めた事実の証明を行うか、または国籍取得時点で22歳以上である場合は兵役が免除されると定めている。

アンカラに所在する庇護移住研究センターのメティン・コラバティル所長は、アラブニュースに対し、ハモ氏は年齢とシリアで兵役を果たした事実により兵役を免除されるべきであり、さらに彼はトルコへの忠誠心を示したことから、親善としても免除されるべきであったとも語った。

「トルコ国籍を取得した人たちはすでに故郷の戦争から遠く離れ、しばらくの間、この国に滞在しています。したがって、男性が兵役義務を果たすことは国籍に付随する義務なのです。ただし、彼らが逃れてきた戦争による心理的トラウマをすでに克服していることが条件となります」と付言した。

現在、世間の注目は次の段階に集まっている。

今年行われるトルコ大統領選挙および国会議員選挙でシリア人が投票するか否かである。

2022年12月現在、約22万3千人のシリア人がトルコ国籍を取得しており、約12万6千人が選挙権を有している。

コラバティル所長によれば、トルコの政党は、国籍を取得したシリア出身の人々の票を考慮し、それに応じて選挙活動を調整する必要があるという。

なぜならこのような人々は、自分たちはトルコ社会にとって負担ではなく、社会の不可欠な一部であることを示そうとしているからだ。

オーストリア国際問題研究所客員研究員のムゲ・ダルキラン氏は、帰化難民の軍隊への参加は、過小評価されているが、受け入れ政策の観点から議論すべき重要なテーマであるという。

彼女はアラブニュースに対し、「第二次世界大戦後、米軍への移民の採用について一定の議論があり、また兵役を通じて国籍が与えられました。最近では、ドイツで『移民出身者』の人口が多いことから、『移民出身者』である国民を独軍に採用できるかどうかという議論もあります」と語った。

ダルキラン氏は、「この話題は未だに論争を巻き起こしているようですが、専門家らは、技術的スキルや特別な訓練を受け様々な専門性を備えた若者に将来的に軍隊に参加してもらうべき必要性を強調しています。兵役はもはや義務ではないからです。また、特にドイツで生まれた人々については、兵役は社会への統合の一環とも考えられています」と語った。

本ニュースに対する世間の反応を見ると、ソーシャルメディア上では非難も見受けられ、ハモ氏はトルコ軍に参加する前にむしろ母国を守るべきだったという声がある。

ダルキラン氏は、過去のトラウマや暴力からまだ完全に回復していない可能性のある人々がトルコ軍に入隊する点も懸念されると述べた。

彼女は、「この一件によって、近年国籍を取得した他のシリア人に対する何らかの強制につながるようなことがあってはなりません」と付言した。

ダルキラン氏はさらに、兵役よりもおそらく他の社会的ニーズが優先されるべきであろうと述べた。「これらの懸念が払拭されるまでは、軍隊への採用は社会的分断を強めるだけでしょう。社会への統合に関しては、労働市場への完全な受け入れなど、他に考慮すべき優先事項があると思います」と述べた。

ダルキラン氏は、移民と難民をめぐる問題は依然として複雑なものであり、長期的な解決策が必要であると述べた。

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