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ダボス:国際社会はイラン体制に最大限の圧力をかけて国内における暴力的なデモ弾圧をやめさせなければならないと、ダボス会議のパネルで「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」代表代行が訴えた。
ティラナ・ハッサン代表代行は17日、世界経済フォーラムで次のように述べた。「今こそ、国際社会はイラン体制に最大限の圧力をかける必要がある。暴力は容認できないというメッセージを伝える必要があるのだ」
ハッサン氏は、イランにおける女性の権利についてのパネルディスカッションにおいて、イラン体制に「一貫した圧力」をかけるために対象を絞った制裁を実施するよう世界各国の政府に呼びかけた。
また、「今重要なのは長期的に見た政治的スタミナだ」と付け加えた。
イラン系米国人ジャーナリストで著述家・女性権利活動家のマシ・アリネジャド氏は、このパネルで次のように述べた。「デモが始まって4ヶ月ほど経つが、女性の権利、平等、尊厳を尊重していると主張する欧州諸国の中でアリー・ハメネイ師に制裁を科した国はない」
アリネジャド氏は、イランの最高指導者であるハメネイ師は「イランの十代の少年少女たちの虐殺・殺害を指示している」だけでなく「プーチン大統領にドローンを送って無実のウクライナ国民を殺させている」としたうえで、G7首脳らに対し「自国の大使を呼び戻し、イランの外交官を追放する」よう求めた。
ハッサン氏は次のように述べた。「例えばウクライナに対する反応において示されたのは、国際社会が連携して最も強力な体制に対して立ち上がれば何を起こし何を実現できるのかということだ」
イラン国民は「国際社会がそれと同様の連帯、同様の行動、同様の結束を示すことを期待している」
ハッサン氏は、HRWがイランでの活動において直面している大きな困難は「殺害された人々の人数に関する正確な情報がほとんど出て来ないこと」だと語った。
また、「これらの情報を全て検証することはできない」としたうえで、イラン国内のジャーナリストが「現地から報道することで情報を提供できるようにするべき」だと提案した。
さらに、短期的に「圧力弁を緩める」ために、国際社会は「イラン国内に届いてデモを支援できるようないくらかの送金」をすることで貢献できると指摘した。
「そういった小さな変化が非常に強力なものになり得る」
イラン系イギリス人女優で活動家のナザニン・ボニアディ氏は、このパネルで次のように語った。「アルゼンチンやチリやフィリピンの歴史に目を向けると、女性が中心にいる運動は成功の確率が高いし、民主主義が勝利する可能性が高くなる」
その理由として、女性は「社会における力としてリードすることができるが、率直に言って男性にはそれができない」と持論を述べた。
「我々女性は息子たちや社会のその他の人々に対し『このままでは駄目だ』と言うことができる。そして、それは伝染する。勇気は伝染するのだ」
「一人が殺されるたびに、その背後で千人が立ち上がる」
「これは政治的な問題であるだけなく、経済的な要素も大きく関わっている。何百万人もいるイラン人ディアスポラには約2兆5000億ドルの価値があるのだから」
「我々にはまだ活用されていない力がたくさんあるし、世界中の至る所に住んでいる。我々には、世界のリーダーたちを関わらせるとともにそのリソースを活用する責任があると思う」
ハッサン氏は、イラン体制は今後も「暴力の強化によって抵抗に対応する」としたうえで、当局は既に「ペレット銃の使用を検討している」と警鐘を鳴らした。
「これは非致死性の武器と言われているが、この小さなペレットが目に入ることで多くのデモ参加者が失明することになる」。同氏は国際社会に対し、長期的にイラン体制の責任を追求するよう求めた。