
エルサレム:21日、ヨルダン川西岸地区の入植者の農場で刺殺未遂事件が起きた後に、イスラエル市民がパレスチナ人を銃で殺害したと軍が発表した。同地区では暴力事件が増加しているが、その最も新しい事例となった。
ラマッラーの北西にあるSde Efraim農場で、まずイスラエル市民が刃物で襲われる「刺殺未遂事件」があったという。
軍は「そのテロリストは制圧された」とし、市民がそのパレスチナ人を撃って死亡させたとAFPに語った。
軍の発表によると、ほか負傷者はいないという。
AFPのカメラマンは、現場に駆けつけようとするパレスチナの救急車をイスラエル軍が阻止しているところを目撃した。
パレスチナ保健省は、パレスチナのKafr Nama村の近くで42歳のタリク・マーリ氏が「占領者(イスラエル側)に銃たれて」殺害されたと発表した。
イスラエルの入植に反対する運動「ピース・ナウ」によると、この村は非公式の入植地として知られ、イスラエルも認めていない開拓地だという。
すべての入植地は国際法の下で非合法とされているが、イスラエルはそれに異を唱えている。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相は西岸地区での入植を拡大する方針を示しており、連立政権を組む急進的正統派のユダヤ政党も一部の領土の併合を支持している。
AFPの集計によると、今回の銃撃事件で、1月に西岸地区で亡くなったパレスチナ人の数は18人となった(軍人・市民を含む)。
昨年12月、ネタニヤフ首相が率いる、イスラエル史上最も右寄りの政権が誕生した。それ以降、1967年の第三次中東戦争以降イスラエルが占領しているパレスチナの領土において、軍事的な緊張の高まりが心配されている。
今年殺害された18人のパレスチナ人の大部分は、イスラエル側によって銃撃された。
昨年、西岸地区では150人以上のパレスチナ人が殺され、国連が集計を開始した2005年以降で最大の年間の犠牲者数となった。今月の暴力事件によって、さらに犠牲者が増えている。
AFPの統計によると、昨年は双方の領土において少なくとも26人のイスラエル人と200人のパレスチナ人が殺害された。
今回の事件についてパレスチナ保健省は詳しい状況を説明していないが、2年近く前には、同じ場所で警護兵がパレスチナ人を銃殺するという事件があった。
2021年2月に起こったこの事件では、そのパレスチナ人がある家に侵入しようとしたとイスラエル軍は主張したが、パレスチナ当局の発表では家は被害者の敷地に建てられていたという。
AFP