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コロナウイルスによって主要経済がどん底に陥る可能性

29 Feb 2020
コロナウイルスの大流行で当局が閉鎖したミラノのドゥオモ(大聖堂)の外にいる軍人。(ロイター通信)
コロナウイルスの大流行で当局が閉鎖したミラノのドゥオモ(大聖堂)の外にいる軍人。(ロイター通信)
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以前にも述べたように、どんなに優れた政治リスク専門のアナリストでも、ある程度の謙虚さを持って世界にアプローチすることが賢明だ。たとえば、もしも私が今年の初めに、2月の大半を費やして武漢発のウイルスでパンデミックになる可能性について書くことになると言われたら、相手が正気なのか疑っていただろう。しかし人生は、パターンはあるが、直線的には動かないものだ。何が実際に問題を起こしているのか、それは予測可能なのか?という根本的な疑問が残る。

ここでコロナウイルスに話を戻そう。パンデミックに近い流行で世界中に恐怖が広がっているが、現在進行中のものがもたらす政治的リスクは、すべて経済的なものである可能性が高い。中国、イラン、イタリアではすでに景気が後退または悪化しており、ウイルスが経済危機の主な原因というわけではない。しかし、予期せぬ最悪な結末を迎え、はるかに深い奈落の底に突き落とされる可能性がある。

ブラックスワン事件(予測できない突発的事件)より前に経済政策の失敗があったことは誰の目にも明らかだ。世界がどれほど奇跡的に生き延びているかがわかるのは、最後の予期せぬ後退が起きるときだけだ。3ヵ国のうち、超大国の中国が経済危機を乗り切る可能性が最も高いが、依然として深刻なリスクが懸念される。1つは、最高指導者の習近平氏が世界に向けてコロナウイルスの流行を発表してから1カ月経過したが、大半の地域では(このウイルスの影響をほとんど受けていない地域さえ)まだ回復には至っていない。

これは、ウイルス発生の中心地(スペインの人口とほぼ同じ5000万人以上がいる)武漢周辺の大部分が完全に隔離されているという事実とあいまって、ウイルスが野放し状態の中で送る日々が中国経済を新たに直撃していることを意味する。事態が長引くほど(現在、この流行の中心地でコロナウイルスが収束する兆候はない)、苦境に立たされている中国が立ち直るのは難しくなるだろう。

しかし、コロナウイルスが発生する前でさえ、中国経済の持続的な活力には、過小報告されている危険な兆候もあった。国内総生産(GDP)成長率は、2桁成長から自然に減速し、公式に6%とされた。だが実際の数字はもっと低いと考えられ、これは成熟した経済における自然な結果である。

構造的にさらに悪いことに、中国の危険な人口転換(数十年にわたる一人っ子政策の結果)によって、国が豊かになる前に高齢化する可能性がある。コロナウイルスが出現する前に、こうした環境はすべて出来上がっていた。

中国政府にとって長期的で非常に不利な結果の1つは、中国の初期対応の失敗が米国と中国のサプライチェーンの分断を加速させることである。このプロセスはすでに米中貿易戦争で始まっている。コロナウイルスの流行は、グローバリゼーションそのものを覆す予期せぬ節目となる可能性がある。

イタリアは明らかに経済的ぜい弱性が進み、その結果、コロナウイルスの予期せぬ衝撃による危険がさらに差し迫っている。イタリアについて議論するときには、単純かつ明白な事実を心に留めておかなければならない。つまり、イタリアは今ヨーロッパでは珍しく、2008年のグレート・リセッションより不景気だという点だ。

欧州が発表した最新のGDPは、この10年間の硬直化を証明するかたちとなった。2019年の第4四半期には欧州の原動力であったドイツは停滞(0%成長)。一方、フランス(マイナス0.1%)とイタリア(マイナス0.3%)は景気が後退した。経済力を競い合う中国と米国の最近の比較的好調な成長率と比較すると、政治的リスクの観点から、過去10年間は単に欧州が取り残された時期と捉えることができる。

政治的指導力や方向性を欠いたイタリアの脆弱な経済は、観光に大きく依存しており、GDPの13%を占めている。ロンバルディア州とヴェネト州を中心とした欧州のコロナウイルスの症例からすれば、今年、観光業が大きな打撃を受けることは想像に難くない。そして、今回のコロナ流行によって、イタリアは長い間かけてきた経済的な綱渡りから抜け出し、どん底に落ちる可能性がある。

世界がどれほど奇跡的に生き延びているかがわかるのは、最後の予期せぬ後退が起きるときだけだ。

ジョン・C・ハルスマン博士

イランは(不運にも無益な否定をしている)新たな大流行の中心地となっている。政府の長年にわたる経済政策の失敗、そして地域の冒険主義の結果としてトランプ政権がもたらした驚くほど効果的な制裁が、すでに厄介な問題を残していた。昨年のGDPは9%もの大幅なマイナス成長が予測されている。この崩壊しつつあるシステムにさらなる衝撃が加われば、まだ考えられていないような政治的、経済的な激変につながる可能性がある。

どのケースも、コロナウイルスが原因で問題が発生したわけではない。むしろ、今回の大流行は最後の予期せぬ負の結果となり、元から不安定だった状況が手に負えないまでに悪化した。世界は実際このように動いており、地球がこの恐ろしい最新の疫病を乗り越えようとする今、生きるために政治的リスクを負う私たちは、このように考えているに違いない。

  • ジョン・C・ハルスマン博士は世界的に有名な政治リスクコンサルティング会社John C. Hulsman Enterprisesの社長兼業務執行役員。また、ロンドン市の新聞『City AM』の上級コラムニストでもある。博士の連絡先はこちら:www.chartwellspeakers.com
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