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トルコおよびシリア地震災害を政治化してはならない、と国連事務総長がアラブニュースに語る

写真には地震によって半壊した建物が映っている。2023年2月7日、トルコ、アダナ(ロイター)
写真には地震によって半壊した建物が映っている。2023年2月7日、トルコ、アダナ(ロイター)
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10 Feb 2023 04:02:36 GMT9
10 Feb 2023 04:02:36 GMT9
  • 国連最初の救援車列がシリア領内に入る中、アントニオ・グテーレス事務総長は、はるかに多くの援助が必要だ、と述べた。
  • シリアへの支援の方式について、安全保障理事会では長い間、シリア政権と同盟関係にあるロシアと西側諸国との意見の食い違いが続いている。

エフレム・コサイフィ

ニューヨーク: アントニオ・グテーレス国連事務総長は木曜日、今週トルコとシリアを襲った悲劇は、その影響を受けた「人々の支援のために私たち全員が団結しなければならない時」であるとアラブニュースに述べ、政治的相違を脇に置くよう求めた。

「その人々は、とても寛大に人助けをする人々です、というのも、シリアの人々もトルコの人々も、トルコの場合はシリア人難民を、シリアの場合はイラク人難民を、過去に受け入れてきました。」と彼は付け加えた。

「トルコは世界で最も多くの難民を受け入れている国で、隣国シリアの人々に対する寛大さで並ぶものはありません。事実、360万人ものシリア人が、10年以上トルコに住んだことがあります。それらの多くは今、地震の被災者となっています。」

グテーレス氏は、以前アレッポを訪問し、そこで会ったシリア人は「暴力と戦争を逃れたイラク人を快く迎え入れ、社会の中に受け入れてきた人々でした。

シリアへのイラク人難民は100万人以上いたのです。彼らは難民キャンプではなく、とても寛大なことに、その地域の社会に受け入れられて、その地域の生活の中に融和させてもらえたのです。」と述べた。

グテーレス氏は、高等弁務官として務めていた時期に行なわれた、今や地震によって甚大な被害を受けた地域への訪問を振り返り、「私は、自分の家と心を開いた人々の連帯に心動かされました。

今やその家々は倒壊し、彼らの心は打ち砕かれています。連帯の中心地は今、苦しみの震央となっているのです。」と述べた。

グテーレス氏は、国連の最初の救援車列が地震から四日後にシリア北西部の国境をまたぐ中、そのように語り、支援活動のペースの遅さに懸念を示した。

彼は、車列はシェルター用の資材および「特に必要な支援物資」を載せた車両6台を含むが、これは反体制勢力の支配する地域で必要とされている支援のほんの一部に過ぎない、と述べた。

「支援は引き続き行なってゆくが、もっとずっと多くの助けが必要です。」とグテーレス氏は言う。

シリア政府は、国際支援は全て「クロスライン支援」として知られるシステムを用いた形でダマスカスの政府を経由するよう望んでいる。

これは、支援物資は一旦首都に届けられ、その後政府によって、反体制派の下にある地域を含めた支援の必要なところ分配される、ということである。

もう一つの方法は、シリア政権は反対しているものだが、ダマスカスの政府を経由せず、被災した地域へ他国が直接物資を届ける「クロスボーダー」支援というものである。

この方式による直接の物資引き渡しは、長期にわたる紛争に対する大規模な国際人道支援の一環として、戦争で引き裂かれたシリアの何百万人もの重大なライフラインをつないできた。

人道支援の専門家は長い間、クロスライン支援はこのクロスボーダーによるライフラインの重要な補助にはなり得るが、直接物資を届ける支援の規模と到達範囲には到底叶わないことを指摘してきた。

それに加え支援組織は、バッシャール・アサド大統領下のシリア政権を、戦争の一策として敵対する地域に食料や浄水といった基本的な物資やサービスを渡さずにいる、として非難した。

シリアへの人道支援の方式をめぐる議論は、国連安全保障理事会において、アサド政権と同盟を結ぶロシアと西側諸国の間で何年にもわたって紛糾してきた。

理事会は、2014年にシリアへの国際支援が開始された際、4つの国境検問所を開くことを承認した。

2020年1月、ロシアが拒否権を行使して、それらの検問所の1つを除いた全てを閉鎖に追い込んだ。

ロシア政府はクロスボーダー国際支援はシリアの主権と領土保全を侵犯するもので、全ての支援はクロスライン方式に則って行われるべきと主張した。

月曜日の地震を受けて、EUとアメリカは、専ら直接にシリアの人々へ支援を届けることを重ねて宣言し、アサド政権とのいかなる国交正常化にも反対であると繰り返した。

一方、支援組織は目下の非常事態に対応するため、検問所を再び開くよう求めている。

グテーレス氏はアラブニュースに、「クロスライン(による支援の供給)はとても重要です。

できることは全て、クロスラインですべきです。しかし(この)災害はクロスラインとクロスボーダーの両方を要する規模です。全ての方式を強化すべきです。そして私が願うのは、この問題が政治化されないということです。」

木曜日までにほぼ2万人の犠牲者が判明し、今後もその数は増えてゆくと予想される今回の地震は、史上最大の自然災害の一つであるとして、グテーレス氏はこれは「政治化、あるいは対立する時ではなく、大規模な支援が必要であることは明らかです。

したがって、もちろん、もし常任理事会が利用できる検問所を増やすのに向けて合意に達することができるなら、それは素晴らしいことです。クロスラインを用いてイドリブに支援を届けるために支援能力を強化する必要もありますから。」と述べた。

彼は更に、シリアに対する「全ての」制裁の解除を求めた。

「全ての国が、いかなる制裁も、現時点のシリア国民に対する救援を阻害することのないよう徹底しなければなりません。」とグテーレス氏は述べる。

ステファン・ドゥジャリク事務総長報道官は、事務総長はシリアへの支援のために検問所を再び開ける見込みについて、安全保障理事会のメンバーと協議する予定である、と述べた。

「国連としては、(安全保障理事会の)決議があっても、2つ目の検問所を開けることしかできません。」と彼は言う。「法律上の問題がたくさんあり、デリケートな問題なのです。」

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