
ウィーン:国連の核監視機関、国際原子力機関(IAEA)は1日、イランが中部フォルドゥの燃料濃縮プラントで、事前の説明なく最新設備によるクラスター2基の相互接続に変更を加えていたと批判した。同設備では兵器級に近い最大60%の純度へのウラン濃縮が可能である。
この変更は、IAEAが、さる21日にフォルドゥ燃料濃縮プラント(FFEP)で抜き打ち検査を行った際に発見された。
山を掘削して建設されいる同プラントは、イランがウラン濃縮の大幅な拡大方針を明らかにした後、検査官による監視が強化されていた。
フォルドゥは以前から警戒の対象となっており、イランと主要国による2015年の核合意でも、同所での濃縮は禁止されていた。
米国が2018年に核合意から離脱し、イランに対する制裁を再開して以来、イランは核開発に対し合意が定める制限の多くに違反してきた。
ロイター通信が確認したIAEA加盟国への機密報告書では、IAEAはIR-6遠心分離機のカスケード2基が「イランが(IAEAに)申告した運転モードと大幅に異なる方法で相互接続されていた 」と述べるにとどまり、カスケード間の相互接続の具体的な変更内容については明らかにしていない。
同機密報告書を要約したIAEAの公式声明の中で、ラファエル・グロッシ事務局長は、「イランが高濃縮ウラン生産に関連するフォルドゥ燃料濃縮プラントの設計情報の大幅な変更を、事前にIAEAに知らせずに実施したことに懸念を抱いています」と述べた。
「これは保障措置協定の下でのイランの義務と矛盾しており、フォルドゥ燃料濃縮プラントに対する保障措置アプローチを調整し、この施設に効果的な保障措置を実施しようとするIAEAの能力を弱体化させるものです」
IAEAは査察を始めとする検証活動を行うためにフォルドゥに定期的にアクセスしてきており、その活動を強化するためにイランと協議している、と報告書は述べている。
報告書はまた、「IAEAとイランは協議を続けています。IAEAは、フォルドゥ燃料濃縮プラントにおける検証活動を強化し、またより頻繁なものにしてきました。しかし、他にもいくつかの保障措置がまだ必要であり、それらについてもイラン側と話し合っています。」と付け加えている。
ロイター