• イスラエル軍は、先週の銃撃事件に関与した容疑者を捜索するため、占領地ヨルダン川西岸地区エリコの南西にあるアカバト・ジャベル難民キャンプに入った。イスラエル軍が発表した。
• 昨年、ヨルダン川西岸地区と東エルサレムでは約150人のパレスチナ人が殺害された。それらの地区の2022年の死者数は、2004年以降では最多となった。

ヨルダン川西岸地区、アカバト・ジャベル難民キャンプ：イスラエル軍は4日、パレスチナのエリコの近くにある難民キャンプを急襲した。同軍は、パレスチナ人襲撃者の隠れ家として使われているとして複数の住宅を包囲し、発砲した住民を銃撃した。この戦闘でパレスチナ人6人が負傷し、2人が重傷を負ったとパレスチナ保健省は発表した。ヨルダン川西岸地区の他の都市と比べると暴力事件が少ない、いつもは静かなオアシス都市に衝撃が走った。

イスラエル軍は次のように発表した。「イスラエル軍は、占領地ヨルダン川西岸地区エリコの南西にあるアカバト・ジャベル難民キャンプに入った。近くにあるイスラエル入植地で先週起きた銃撃事件に関与した容疑者を捜索するのが目的だった」

4日、ヨルダン川西岸地区の緊張は高まっていた。イスラエル軍が急襲作戦を実行し、ここ20年で最多の死者が出た後、東エルサレムでパレスチナ人による襲撃事件が2件起き、7人が死亡したからだ。そのような状況の中、イスラエル軍は、銃を持ったパレスチナ人がエリコの近くの入植地にあるレストランで発砲したと発表した。犯人は1発発砲した後、現場から逃走したと同軍は発表した。負傷者はいなかった。

その銃撃事件の後、複数のパレスチナ人が家族の助けを借りて自宅に立てこもり、今後の攻撃を計画していた、と同軍は発表した。

逃亡者を投降させるために、軍用ブルドーザーが1軒の住宅の壁を引っかいた。イスラエル軍司令官は拡声器を使って威嚇の言葉を叫んだ。キャンプの住民は「子供を家の中に入れ、イスラエル軍との衝突を避けるよう各家庭に促すテキストメッセージを受け取った」と報告した。

容疑者らとその家族は、1軒の住宅からぽつぽつと出てきて投降した、と同軍は発表した。治安部隊は、その住宅の大部分を破壊し、がれきの山とねじれた金属を残していった。パレスチナ人はこれに抗議し、ガタガタと音を立てながら同キャンプの道路を走る軍のジープに石や火炎瓶を投げつけた。銃を発砲する者もいた。イスラエル軍は反撃し、6人を負傷させたが、重傷者は出なかったとパレスチナ保健省は発表した。

パレスチナに対して好戦的な態度を取っているイスラエル極右新政権の下、東エルサレムと占領地ヨルダン川西岸地区では暴力事件が増加している。そのような状況の中、今回の急襲は行われた。イスラエルは1967年の中東戦争でヨルダン川西岸地区、東エルサレム、ガザ地区を占領した。パレスチナ人はこれらを、彼らが待ち望んでいる独立したパレスチナ国家の領土にしたいと思っている。

パレスチナ人による殺傷事件が昨年春にイスラエル国内で相次いでから、イスラエル軍は、占領地ヨルダン川西岸地区でほぼ毎晩行っている急襲を強化している。この1年半、急襲が激化する中、エリコは静かな砂漠の町のような存在であり続け、暴力事件が起きることはほとんどなかった。

先週、近くの入植地で銃撃事件が起きた後、イスラエル軍はエリコに通じるいくつかの道を閉鎖している。この閉鎖で、エリコは半封鎖状態になっている。ビジネスは混乱し、検問所では数時間の渋滞が起き、パレスチナ治安部隊にも影響が及んでいる。その様子が映像に映っていた。

先週、ジェニン難民キャンプが急襲され、パレスチナ人10人が死亡した。パレスチナ自治政府は報復として、安全保障に関するイスラエルとの協力関係を見直すと発表した。

イスラエルの人権団体ベツェレムの数字によると、昨年、ヨルダン川西岸地区と東エルサレムでは約150人のパレスチナ人が殺害されており、それらの地区の2022年の死者数は、2004年以降では最多となった。2022年にイスラエル国内でパレスチナ人に殺された人は約30人だった。

イスラエル軍は、殺害されたパレスチナ人の多くは過激派だと主張している。しかし、急襲に抗議して投石した若者や、対立に関与していない人たちも殺されている。

AP