• 聖なる月は、世界中のイスラム教徒が自らを律し、礼拝を増やし、喜捨の精神を実践する

ナダ・ハミード

ジェッダ：世界中で20億人以上のイスラム教徒がラマダンという聖なる旅に出る。

ラマダンは、内省、献身、寛大さ、犠牲の期間であり、精神的成長へのコミットメントを共有することで世界のイスラム教徒のコミュニティを団結させる。

ラマダンの中核には、断食への精神的なコミットメントがある。断食は、イスラム教徒が自己鍛錬、恵まれない人々への共感、精神的な覚醒を養う手段として守っている習慣である。

断食は、日没のマグリブ礼拝の呼びかけで終了するが、一体感と感謝の気持ちを育むイフタールと呼ばれる食事を共同で分かち合う。

タラウィーという夜間の礼拝は、ラマダンのもう一つの重要な側面であり、イスラム教徒はイシャの礼拝の後、長時間にわたって熱心な礼拝に従事する。モスクは礼拝者で埋め尽くされ、世界中のイスラム教徒が様々なイマームのコーラン朗読に注意深く耳を傾ける。

グランドモスクと預言者モスクの事務総局は最近、今年のラマダンのタラウィー祈りとタハジュド祈りのスケジュールを発表した。

リストには、アブドゥルラフマン・アル・スダイス師、マヘル・アル・ムアイクリー師、アブドゥラー・アル・ジュハニ師、バンダル・バレラー師が含まれている。

ラマダン27日の夜、グランドモスクで行われるタラウィー礼拝では、アル・ジュハニ師が最初の礼拝を、バレラー師が2番目の礼拝を、そして最後の礼拝とウィトル礼拝はアル・スダイス師が執り行う。聖月27日の夜、レイラット・アル＝カドルは、イスラム暦の中で祝福された夜とされ、イスラム教徒の心の中で特別な位置を占めている。

サヒーフ・アル・ブハーリー氏によるハディースによると、預言者ムハンマドは「信仰と誠意をもってレイラット・アル＝カドルに祈る者は誰でも、過去の罪をすべて赦されるであろう」と言っている。

預言者ムハンマドにコーランが初めて啓示された夜と言われ、千ヶ月よりも神聖な夜とされている。レイラット・アル＝カドルの断食と祈りは、罪の赦しや祈りの成就など、計り知れない報いをもたらすと信じられている。

ジェッダに住む25歳の大学生、ファティマ・ムサンナさんは、聖月に対する興奮と心構えをアラブニュースに 「聖月が近づくにつれ、期待と興奮でいっぱいです。毎晩のお祈りとコミュニティのイフタールに参加するのが楽しみです」と語った。

マッカ在住、ハリド・ムフティさんは、ラマダンを控えて「祈りとコーランの読誦を増やすことで精神的な準備をし、自分の行いを振り返り、許しを請うことで心を整えました。また、長い断食をするために食事と睡眠スケジュールを調整することで肉体的な準備をしました。ラマダンは私にとって再生と成長の時であり、ラマダンがもたらす祝福を経験するのが待ち遠しい」と彼女は語った。

マッカ出身のハリド・ムフティさんは「ラマダンは、精神的な成長と内省の時であるため、私の心の中で特別な位置を占めています……私は毎晩の祈りとコミュニティのイフタールに参加することを楽しみにしています。ラマダンは団結、慈悲、祝福の時であり、私はそれを最大限に活用したいと思っています」という。

若いイスラム教徒たち

ラマダン（断食月）の季節は、親が断食を少しずつ教えることで、聖なる月を子供たちに紹介するまたとない機会である。この初期の導入は、断食の宗教的な報いと美徳を強調し、実践とその意義に慣れるための穏やかな方法だ。そうすることで、親はこの神聖な義務に対する理解と感謝の種を植え付け、断食が大人として必要な献身行為となる時のために子供たちを準備させるのである。

小児科医であり、今年初めて半日断食をする6歳の息子の父親でもあるアブドゥラー・ジャマル医師は、アラブニュースに「この聖月は、私たち大人にとって重要なだけでなく、子供たちにとってもユニークで豊かな体験となります。忍耐、精神性、与えることの本質を学ぶ期間なのです」と語った。

さらに、「親としてラマダンの概念をやさしく紹介し、断食だけでなく、精神的、共同的な側面に焦点を当てるべきです。祈り、慈善活動、家族団らんなど、断食以外の活動への参加を促し、幼い心に帰属意識と喜びを植え付けましょう」と付け加えた。

刷新

ラマダンの時期には、徹底的な掃除から家の飾り付け、お祝いの買い物まで、新たな気持ちで過ごす。

王国内の各都市の賑やかな通りや市場では、業者がラマダンに合わせた商品をずらりと並べ、興奮が伝わってくる。伝統的な食べ物から複雑なデザインの装飾品まで、市場はこの季節の精神で活気づく。

ジェッダのアル・バラドやリヤドのスーク・アル・ザルは、ラマダンの活気あふれる光景を楽しむために観光客や家族連れが集まる人気の市場だ。

スーク・アル・ザルは38,000平方メートルの広さを誇り、市内で最も古い伝統的な市場のひとつとして、その通りには100年以上の歴史がある。リヤドの中心部、アル・ディラー地区にあり、歴史的なアル・ムラバ宮殿から約5.4kmの距離だ。

アル・バラドの歴史地区は、聖月を祝う伝統と現代性の融合を見事に表現している。アル・バラドの歴史的建築物や狭い路地では、訪問者は活気ある祭りとヒジャーズの豊かな文化のタペストリーを目撃することができる。地元の行商人たちは、伝統的なラマダンの飾り付けを、多様な嗜好に応える屋台料理とともに提供している。

アル・バラドの露天商アブドル・ラーマン氏は、この独特な雰囲気についてこう語る「伝統とモダンが融合した質の高い商品をお客様に提供できることを誇りに思います。ラマダンのために買い物をする人々の顔に浮かぶ喜びは、本当に心温まるものです」

共同で行う食事と慈善行為

2月初め、グランド・モスクと預言者モスクの事務総局は、ラマダン期間中にマッカのグランド・モスクでの、特定の条件と基準に従う、イフタール食の提供の募集を開始した。

提供者は食事の場所を電子的に選択することができ、認可されたケータリング会社、またはサウジアラビア食品医薬品局認可の工場や倉庫と契約することが義務付けられている。食事は、デーツ、ケーキ、ペストリー、ジュースなどで構成され、承認された包装条件に従わなければならない。

大統領府はまた、聖月に預言者モスクで断食中の人々にイフタールサービスを提供している。このラマダン期間中、モスクとその中庭の指定されたイフタール場所で、850万食以上のイフタール食が断食者に配布される予定である。

さらに、4,500万人以上にザムザムの水が提供される。これには、2つの聖なるモスクの礼拝者のために確保されたザムザムの水の250万本のボトルの配布と、預言者のモスクの至る所にある1万8,000個のザムザムの水クーラーでの飲料用カップの配布が含まれる。

さらに、1,205の飲料用の水飲み場が準備され、モスクの外部中庭に分散されている。

昨年のラマダン（断食月）には、Jood Eskanチャリティー・キャンペーンにより、聖月中に15億SR（約4億円）が集まり、困窮している家族に住居を提供した。

Jood Eskanは、自治体・農村・住宅省の非営利部門であるSakanが2019年に開始した、住宅所有のためのサウジアラビアのクラウドファンディング・プラットフォームである。

王国全土の5,250世帯、26,250人もの人々が、このキャンペーンのおかげで住宅を確保し、ギネス・ワールド・レコードによって、史上最も成功した1ヶ月間の電子チャリティー活動として公式に認定されている。