


インジルリク空軍基地:米国のアントニー・ブリンケン国務長官は19日、トルコへのさらなる支援について説明し、今月発生した地震からの復興を目指すトルコ政府を長期的に支援していくと語った。
2月6日、マグニチュード7.8の地震がトルコの南東部と隣国のシリアを襲い、4万5000人以上が死亡、100万人以上が家を失った。この災害による経済コストは数十億ドルに達するとみられる。
19日、トルコへの公式訪問としてインジルリク空軍基地に到着した長官は、米国のさらなる支援について話し合う予定。
長官はトルコのメヴリュット・チャヴシュオール外相とともに基地からヘリコプターで飛び立ち、最も被害の大きかった県の1つであるハタイの状況を上空から視察した。
基地で開かれた記者会見で、長官は「長期間の取り組みになる」と語った。米政府は同基地を支援活動の実質的な拠点としている。
地震発生から2週間近くが経過し、捜索・救助活動は終焉を迎えつつあるが、米国は支援を続けると長官は述べた。
「被害の大きさや破壊された建物・共同住宅・家の数を見れば、大規模な活動が必要になるだろうが、われわれはそうした活動においてトルコの支援に取り組む」
「今一番重要なのは人々に支援を届けることだ。端的に言うと、米国が駆けつけたということだ」
地震発生以降、米国は医療物資やがれき撤去用機械などとともに捜索・救助チームをトルコに送っている。また、シリア分も含めて8500万ドルの人道支援を追加した。
長官はまた、トルコ・シリア地震への対応として、バイデン大統領が5000万ドルの緊急難民移民支援基金(ERMA)を了承する方針を明らかにした。
国務省と国際開発庁(USAID)からの5000万ドルの追加支援を合わせると、トルコ地震への米国の支援は合計1億8500万ドルに達すると国務省は述べている。
訪問の大幅な遅れ
情報筋によると、ブリンケン長官はアンカラでチャヴシュオール外相と二国間協議を行い、タイイップ・エルドアン大統領とも会談する予定だという。
国務長官としてのブリンケン氏のトルコ訪問は以前から検討されてきたが、結果として就任から2年かかった。
就任から3か月以内に訪問した前任者のヒラリー・クリントン氏やレックス・ティラーソン氏とは対照的だ。
こうした遅れは二国間の緊張関係を示している、と分析されている。トルコが2019年にロシアのミサイル防衛システムを購入して以降、両国関係は悪化した。
米国は、ロシアによるウクライナ侵攻におけるトルコの振る舞いを一部評価しているものの、ロシア政府との近い関係性が懸念されていると専門家は見ている。
両国の会談では、棚上げされているスウェーデンとフィンランドのNATO加盟問題も取り上げられるとみられる。トルコは特にスウェーデン政府が「テロ組織」を匿っていると主張し、加盟に難色を示している。
エルドアン大統領は先月、フィンランド単独での申請は認めると述べた。
ロシアによるウクライナ侵攻後の昨年、北欧2か国は大西洋を横断する防衛協定への加盟を申請した。だがトルコからの予期せぬ反発にあい、支持を取り付けようとしている。
トルコ政府は、両国がクルディスタン労働者党(PKK)に対してより厳しい姿勢で臨むように求めている。PKKは同政府と欧州連合(EU)からテロ組織とみなされており、2016年のクーデター未遂事件の一端を担ったとされる。
ロイター