エファレム・ コッセイフィ
ニューヨーク: EUは、ロシアとの和平交渉について、同国がウクライナの主権と領土の一体性の尊重を前提とし、戦争犯罪に対する賠償と説明責任を負うことなしに行う可能性を再び否定した。
EUのジョセップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表は11日、アラブ・ニュースに対し、「我々は、いかなる対話もこの枠組み内で行わなければならないと考える」と述べた。
「いつ、どのようしてか?それは分からない。しかし、ここではっきりさせておきたいのは、交渉の道を開くことを拒否しているのは我々ではない、ということだ。我々はオープンであり、これからも常にオープンであり続ける」。
取材と同時期に、ウクライナ侵攻から1年に合わせた国連総会緊急特別会合が開かれていた。193か国の圧倒的多数が、「ウクライナにおける包括的、公正かつ持続的な平和を基礎づける国連憲章の原則」と題するEU決議の採択に賛成票を投じた。
安保理決議とは異なり、国際法を背景とする拘束力を持たないが、それでもなお世界舞台でロシアの孤立を更に深める一助となり得る。
約60か国により発議された決議案は、敵対行為の停止とロシアによるウクライナからの「即時、完全、無条件」な軍撤退を要求している。また、国連が「ウクライナの主権、独立、統一、領土保全にコミットする」ことを再確認している。
ウクライナは昨年、ロシアの行動を非難する複数の決議に関して国連加盟国から幅広い支持を集めたが、この決議に関しても同様の結果となった。
しかし、ボレル氏は、今回の国連によるモスクワへの非難が紛争の早期解決につながる可能性については、全く幻想を抱いていない。
「残念ながら、戦争は続くだろう」と同氏は述べた。「だが、何がいつ起こるか分からない。
私が分かっているのは、毎日、ロシアの攻撃が激化していること、ロシアが兵力を増強していることだ。侵攻前、ロシアは15万人の兵士を動員したが、現在は30万人の兵士が前線におり、侵攻開始時の数から倍になっている。また、一日に5万発の砲弾を撃っている。
戦争の犠牲者が増える中、一部のアナリストはEUに対し、ウクライナ側にロシアとの交渉を妥結させるよう働きかけて、そこで、ドンバス占領地域の一部割譲と引き換えに、ロシアにウクライナのEU加盟とそれに伴う安全保障を承認させるべきだとしている。
アナリストらは、ウクライナ国民が自国の独裁政権を2度倒したのは、EU加盟のためであり、それが今もなお彼らの目標であることに変わりはないと主張している。
これに対し、ボレル氏は、「我々が直面している状況」を考えると、ウクライナへの軍事支援は続けるべきであり、それに合わせてロシア経済への国際的制裁や「ロシアを外交的に孤立させる努力」の継続も求められていると言う。
「ロシアを外交的に孤立させる努力、それがここ(ニューヨーク)で我々が目下、取り組んでいることだ」とボレル氏は述べた。
さらに、「一方では、攻撃されている側を支援しなければならない。一方で、停戦と交渉への道も残しておかなければならない。
どのような条件で?すでに述べたとおりだ。ウクライナの領土保全の尊重。ウクライナの主権の尊重。説明責任と戦争賠償も求める。
我々は、いかなる対話もこの枠組み内で行わなければならないと考える。そして、この対話を始める機会があれば、我々は最初に(その)イニシアティブをとるだろう」