ラマッラー:ヨルダン川西岸地区では、入植者がパレスチナ人を襲撃する事件が3日連続で起きた。パレスチナ情報筋や人権活動家は、イスラエル治安部隊の「完全な沈黙」と、暴力行為に対するイスラエル政府の「弱気な」対応を非難している。
イスラエル人入植者は2月27日に暴動を起こし、パレスチナの町で多くの車や家に放火した。ヨルダン川西岸地区北部でイスラエル人2人が、銃を持ったパレスチナ人の容疑者に殺害された後、襲撃事件が起き、パレスチナ人1人も殺害された。
2月28日には占領地ヨルダン川西岸地区で、車内にいた別の人が同じ方法で射殺された。この被害者は米国とイスラエルの二重国籍を持っていた。
今年になって現在までに、62人のパレスチナ人がイスラエル軍や民間人に殺されている。同じ期間に14人のイスラエル人がパレスチナ人に襲撃され死亡している。2023年の初めから、東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区では対立が激化している。
2月27日、パレスチナ解放機構執行委員会のフセイン・アル・シェイク委員長は、パレスチナ問題を担当するハディ・アムル米特別代表と会合し、入植者や軍の攻撃からパレスチナ人を守る方法について議論した。
アル・シェイク氏とアムル氏は、ナブルスやハワラなどのヨルダン川西岸地区の都市における、入植者による残忍な暴力行為について話し合った。
アムル氏は2月28日、襲撃事件の直後にハワラを訪れ、住民から証言を聞いた。同氏は、住民が被った被害と損失について説明を受けた。
在エルサレム米大使館は声明で次のように発表した。「(アムル氏は)ハワラ襲撃事件の犠牲者(を訪ねた)。同氏は深い哀悼の意を表し、入植者が広く無差別に行っている、許容できない暴力行為を非難した」
その声明によると、アムル氏は次のように述べた。「ヨルダン川西岸地区における暴力の激化を非常に懸念している。我々が期待するのは、これらの凶悪な攻撃の責任者が完全に責任を負い訴追されること、そして、財産を失ったり損害を受けたりした人たちが補償されることだ」
アル・シェイク氏は「我々は多くの地域問題や国際問題、特にパレスチナ人に対する残忍な攻撃について話し合った。占領軍・入植者による殺人や住宅への放火などだ。直近では、ナブルスやハワラなどのヨルダン川西岸地区の都市で行われた 」とツイートした。
「(今回の会合は)パレスチナ指導部と米国政府による一連の会合の続きだ」と同氏は補足した。
イスラエル当局は、ハワラ襲撃事件に関連した逮捕や起訴をまだ発表していない。
匿名のパレスチナ高官はアラブニュースにこう話した。「ハワラで起きたことは非常に恐ろしい。その事件の醜悪さによって、米国はイスラエルに対し、より断固とした、より厳しい言葉を使うことを余儀なくされた。中東地域に破壊をもたらすことになる狂気からイスラエルを守るためだ」
「イスラエル軍と入植者が交代でパレスチナ人を虐待しているうちに、彼らの役割は統合された。ハワラの住民の家や車が焼かれていたときに」
パレスチナの政治アナリスト、ガーサン・ハティブ氏はアラブニュースに対し、バイデン政権は「十分に注意を払って」イスラエル政府に接近していると話した。
政策の転換は「イスラエルの行動に対する発言と非難に限定される」と同氏は述べた。「イスラエルは言葉による批判を真剣に受け止めないため、その効果はほとんど限定的だ」
パレスチナ人に対する破壊的な政策を終わらせるために、米国はイスラエルに対して懲罰的な措置を取るべきだ、とハティブ氏は付け加えた。
政治アナリストのマジディ・ハラビ氏はアラブニュースにこう話した。「ネタニヤフ氏のハワラ放火事件への非難は遅かったし、弱気だった」
イスラエルにいるパレスチナ人は、入植者による襲撃の犠牲者と連帯して抗議行動を組織している。
一方、イスラエル軍はエリコ市の封鎖を強化した。全ての主要な入口やそれほど主要ではない入口を閉鎖し、市民の移動を制限した。エリコの住民によると、イスラエル軍は2月27日夜、同市南部にあるアカバト・ジャベル・キャンプに建つ複数の家を急襲したという。
28日には、イスラエルのエルサレム市が、同市郊外にあるジャベル・ムカベル村に建つパレスチナ人の家を取り壊した。
最新の展開がもう一つあった。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の盟友である国粋主義者が、新政府の副大臣を辞職した。
アヴィ・マオズ氏の辞任により、11月の選挙で議会の過半数を確保し、12月下旬に発足したネタニヤフ連立政権に初めて亀裂が入った。