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フーシ派、石油関税や税金で私腹を肥やす——国連の専門家

2023年2月25日、イエメンのフーシ派の支配地域にある紅海に面したホデイダ港で荷揚げされるコンテナ(ロイター通信)
2023年2月25日、イエメンのフーシ派の支配地域にある紅海に面したホデイダ港で荷揚げされるコンテナ(ロイター通信)
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02 Mar 2023 05:03:52 GMT9
02 Mar 2023 05:03:52 GMT9
  • 支配地域の公務員の人件費になるはずの税収が、フーシ派幹部の懐に入るとともに戦費になっている。
  • フーシ派は鉱業や水道、漁業を初めとする経済活動に対する5分の1税を新設

アルムッカラー:国連の専門家委員会はこのほど出した報告書で、イエメンの反政府武装組織フーシ派幹部の親族が石油関税を初めとする多額の税収を自分の懐に入れて私腹を肥やしているほか、石油のブラックマーケットを創設してそこからも利益を得ていると指摘した。

フーシ派が内戦を利用して私腹を肥やしているとの見方はイエメンの人権活動家や当局から以前から出ていたが、それが裏付けられた形だ。

この専門委員会は国連安全保障理事会に対し、2021年12月初めから2022年11月30日までの1年間についての年次報告書を提出。4月2日に国連が仲介した停戦が始まって以降、69隻のタンカーが181万498トンの石油およびその派生製品をフーシ派の支配下にあるホデイダ港に運び込み、そこからフーシ派は2719億350万イエメン・リアル(約2億7100万ドル)の資金を得たという。

国連が仲介したストックホルム合意によれば、フーシ派はこうして得た資金を支配地域の公務員への給与に使うことになっていた。ところがフーシ派はその資金をわが物にし、戦費に回していた。

「ストックホルム合意の下、フーシ派は公共サービスの給与支払いに充てるという条件で、ホデイダ港を経由して輸入される石油から関税を徴収できることになっていた。だが委員会の得た情報では、報告書の執筆時に至るまで給与はまったく支払われていない」と委員会は述べている。

また、携帯電話や固定電話のサービス、石油、銀行、病院、薬局に対してかかる税金やザカート(喜捨税、推計で年450億リヤル)といった歳入源に加え、フーシ派は鉱業や水道、漁業などの経済活動に対しフムスを新たに課した。そうした税収はすべてフーシ派幹部の親族やフーシ派と同盟関係にある組織の指導者たちの手に渡ったと、194ページにわたる報告書では指摘している。

「不動産もフーシ派に多額の収益をもたらしている分野だ。フーシ派は報告書の対象期間において、広大な土地や建物を接収した。またフーシ派は、複数の通信企業を使って自分たちの軍事行動に対する支援や金銭的寄付を求めるメッセージを大量に送った」と報告書には書かれている。

専門家委員会はまた、フーシ派が戦費をまかなうために、違法薬物の密輸や売買に関与していたことも発見した。サウジアラビア当局は専門家委員会に対し、イエメンのフーシ派が発送した麻薬の貨物を複数、押収したと述べたという。

「リヤド訪問の間、委員会はサウジ当局が複数回、特にワディア、ハドラ、ウラブ、トゥワル、ジャザーンの港において(イエメン発の麻薬の貨物を)押収したとの情報を得た。サウジ当局によれば、フーシ派は委託販売品の売買や密輸をほう助することで資金を得て、戦費に充てているという」

また専門家委員会は、イランの支援を受けたフーシ派は民間人の集会やインフラへの無差別攻撃や恣意的な誘拐、拷問、拉致を行っており、イエメンにおける人権侵害の最大の担い手だと指摘した。

また専門家委員会は、子どもを軍隊に動員するのをやめるよう求める国連の呼びかけに背いたとして2年連続でフーシ派を非難した。委員会によれば、フーシ派で地域社会向けサービスを担っている部門が金銭的な援助や脅迫を使い、主に13〜17歳の子どもをサマーキャンプや新兵徴用・訓練施設に無理やり集めているという。

「フーシ派は子どもに対する洗脳、子どもの軍隊への動員、子ども兵を戦闘要員になることを含めて使う活動を続けているが、これは2022年4月に子供に対する深刻な(人権)侵害を防止し終止符を打つ目的で国連との間で署名した法的な義務や行動計画に反している」

国連はイランがフーシ派に対し、弾道ミサイル部品を含む武器の供給を続けている証拠もつかんだ。イエメン国内の陸路または海上で輸送された武器が押収されたためだ。

国連の専門家らはまた、フーシ派の海上密輸組織のリーダーとしてモハメド・ハラス・モハメド・ビシャラを特定した。

今年1月、英海軍はイランからオマーン湾に入ってきた国籍不明の船舶2隻に積まれていた弾道ミサイル「コッズ」の部品やドローンを押収した。専門家委員会はこれら押収品についても調べることができた。

「英海軍によるコッズの部品の押収は、ミサイルが部品に分解されて外国から持ち込まれ、最終的な組み立てはフーシ派支配地域で行われているとの委員会の見方を裏付けるものだ」と報告書には書かれている。

委員会はまた、イエメン当局の許可を得て、対戦車誘導ミサイル「9M133コルネット」が入っていた52個の容器についても調べることができた。ミサイルは4つの巨大な発電機の内部に隠されていたが、オマーン国境のシャーン検問所で押収された。

「委員会は、オマーン国境で押収された対戦車誘導ミサイルのような、押収された武器の一部の技術的な特徴や標識がイランで生産されたものと一致するとの以前からの見方を維持している」と報告書には書かれている。

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