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レバノンの国会で政治家が罵倒合戦、緊張が高まる

昨年10月末にミシェル・アウン氏の任期が終了して以来、大統領職の空席が続いたままだ。政治家たちは後継者について合意に達することができないでいる。(AFP/ファイル)
昨年10月末にミシェル・アウン氏の任期が終了して以来、大統領職の空席が続いたままだ。政治家たちは後継者について合意に達することができないでいる。(AFP/ファイル)
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29 Mar 2023 03:03:08 GMT9
29 Mar 2023 03:03:08 GMT9
  • 一方、米国財務省は、麻薬王として告発されたレバノン人2名に制裁を科した

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノンの政治家らは、3月28日火曜日の議会合同委員会の会合で叫びながら侮辱を浴びせあった。新大統領選出の失敗が続き、5月に予定されている自治体選挙の実施が不可能になるとの懸念が高まり、緊張が続く中での出来事であった。

2020年8月にベイルート港で起きた大規模な爆発事故を招いた出来事に関与したと非難されているアマル運動議員のガジ・ゼアイター氏は、国会議員が新大統領を選出できなかったことを理由に2カ月以上にわたって国会で座り込みをしている独立議員のメルエム・カラフ氏と衝突した。緊張が高まる中、ゼアイター議員はカラフ議員を公然と侮辱したとして非難された。

また、市議選をめぐり、カタエブ党のサミ・ゲマイエル党首と、同じく港湾爆発事故への関与を指摘されているアマル運動のアリ・ハッサン・ハリル氏との間でも論争が起きた。ゲマイエル党首はハリル氏が「不謹慎な」侮辱を用いたと非難している。

言い争いが続く中、会合は終了した。先週、「ラマダン期間中の断食者が1時間休めるようにするため」との理由でサマータイム開始を1ヶ月遅らせるとの発表があったが、世間の不評を受けてナジーブ・ミカティ暫定首相はこれを撤回した。今回の会合は、この撤回の翌日に行われている。

「会合で起こったことは衝撃的だった」と、「民主的な集まり」ブロックのメンバーであるハディ・アブ・アル=ハッサン議員は述べた。「このようなことを続ければ、レバノンはあまりにも危険すぎる状況に陥ってしまう」

「政治家は理性的な意見に耳を傾け、国と国民にとって最善の利益を慎重に考慮する必要がある」と彼は付け加えた。

「こんな緊迫したドラマを続けている場合ではない。我々がすべきなのは、大統領を選び、政府を作り、改革の実行を始めることだ」

昨年10月末にミシェル・アウン氏の任期が終了して以来、大統領職の空席が続いたままだ。政治家たちは後継者について合意に達することができないでいる。

アブ・アル=ハッサン氏によると、進歩社会党の代表であるワリード・ジュンブラート氏が、不安定な政治状況を確実にコントロールするために様々な政党のメンバーと話し合っているが、根本的な緊張は依然として高いままであるという。

不穏な空気が漂う国会後、ゲマイエル氏は言い争いの詳細には触れず、今回の件を「聖域に対する危険な攻撃であり、我々はこれを受け入れることはできない」と考えているとだけ述べた。

「一部の議員が現在の方法での国政運営に固執するなら、我々はさらに大きな問題に直面することになるだろう」と彼は警鐘を鳴らした。

さらにゲマイエル氏は、「もし私がこの出来事を公表したら、国を巻き込もうとする人たちの争いを助長することになる。我々はそんなことは望んでいない」と付け加えている。

彼はナビーフ・ビッリー国会議長に「起こったことに対処する」よう求め、「もし彼が対処を望まないのであれば、受け取ったメッセージを検討してもらい、我々のほうでここからどのように物事を進めていくかを同盟国と協議する」とも付け加えた。

ゲマイエル氏は、市議選を実施できなかった場合に起こりうる危機を警告し、「800万ドル必要になるため、国が選挙費用を負担する必要がある」と強調した。

レバノン政府は選挙費用を賄えないと発言している。内務省の関係者によると、「選挙を実施するための資金やスタッフがいない」とのことだ。

同省は、選挙にかかる費用を1200万ドルと設定している。EU、米国国際開発庁、国連開発計画などの国際ドナーから300万ドルの拠出が約束されており、印刷、文房具、物流などの必需品にかかる費用に充てられるという。レバノン国家は、選挙作業員、判事、警備、投票箱の輸送、電力などの費用として残りの資金を提供する必要がある。

選挙延期を決定するためには、立法府を招集しなければならない。キリスト教系の議会ブロックは、「国会は現在、大統領を選出することだけを目的とした選挙人組織である」 という理由でこの招集に同意することを拒否している。一方、他の政治勢力は、現在の市議会の任期を延長する法律を成立させる責任を負いたくないと考えているようだ。

また、米国財務省は、麻薬王として告発されたレバノン人のハッサン・ダクーとヌーフ・ゼアイター両氏に対して制裁を課した。

ダクー氏はレバノンとシリアの国境にまたがる町トフェール出身で、両国の二重国籍者である。2021年にレバノンで逮捕され、現在も勾留中だ。ベイルートの刑事裁判所は昨年、カプタゴンを製造して他国に密売した罪で、彼に7年間の重労働を言い渡した。米国財務省は、彼と彼の麻薬密売事業がヒズボラと直接つながっていると非難している。

ゼアイター氏は麻薬密売の容疑でレバノンから指名手配されている。彼は14人以上の武装警備員に囲まれ、窓を暗くした四輪駆動車で移動していると言われている。米国財務省は、彼とヒズボラとの関連も指摘している。

数日前、ハルブタの町はずれで、ゼアイター家の指名手配者が乗っていた護送部隊を待ち伏せていた軍が襲撃した。武力衝突の末、ゼイター氏の息子マハディが負傷し、逮捕された。

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