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イスラエルの急襲による心の傷を抱えるパレスチナの子供たち

パトロールするイスラエル軍。2023年3月26日、占領下のヨルダン川西岸地区の町ハワラ。(AFP)
パトロールするイスラエル軍。2023年3月26日、占領下のヨルダン川西岸地区の町ハワラ。(AFP)
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30 Mar 2023 06:03:01 GMT9
30 Mar 2023 06:03:01 GMT9
  • 「ディフェンス・フォー・チルドレン・インターナショナル・パレスチナ」は、軍事行動によって心に傷を負ったジェニンの子供たちの証言を記録している

モハメッド・ナジブ

ラマッラー:イスラエル軍がパレスチナの領土に侵入して民間人に対し過剰な暴力を行使している結果、子供たちは絶え間ない恐怖と不安の中で生きていると、あるレポートが伝えている。

「ディフェンス・フォー・チルドレン・インターナショナル・パレスチナ(DCIP)」は、軍事行動によって心に傷を負ったジェニンの子供たちの証言を記録している。

DCIPはレポートの中で、イスラエル軍による行動は今年に入って17人の子供の生きる権利を奪っただけでなく、他の子供たちにも重大な影響を与えていると指摘している。

そのことは彼らの行動、思考、学業成績に現れている。彼らが目撃した暴力は国際法で保証された彼らの権利を侵害し、心理的・社会的安全を脅かしたと、DCIPは非難している。

今年に入って殺害された17人の子供たちのうち、6人はジェニンに住んでいた。

子供たちは人間の盾として使われた。彼らはイスラエル軍によるジェニンやその難民キャンプへの急襲の際、軍の兵舎や狙撃・監視地点として使用された彼らの自宅に長時間拘束されたのだ。そういったこと全てが子供たちに大きな影響を与えたとレポートは指摘している。

ある17歳は語る。「朝、私の同級生で17歳のマフムード・アル・サアディと私が学校に向かっていたところ、イスラエル軍がキャンプに襲ってきてあらゆる方向から銃撃を始めました。彼は殺されました」

「学校を卒業したら大学で一緒に勉強しようと言っていたのに、全て打ち砕かれてしまいました」

ある16歳は語る。「占領軍によるキャンプ急襲は日常になっています」

「軍はいつでも入ってくるので、家を離れられなくなりました。家の外にいる時は軍の急襲が怖いです」

DCIPのディレクターであるハレド・クズマール氏はアラブニュースに対し、イスラエル軍による過剰な暴力行使のせいでパレスチナの子供たちは安心感や将来への自信を感じることができなくなったと指摘する。

同氏は次のように語る。「子供たちは絶望的な状況の中で暮らしています。例えば、ドハイシャ難民キャンプにいたある子供は、移動する際には遺書を書いた紙をポケットに入れていました。間違った時に間違った場所に行って殺されてしまうかもしれないと恐れていたからです」

クズマール氏は、イスラエル軍に殺害された17人の子供たちは兵士らに対して何の安全上の脅威も与えていなかったと話す。彼らは普段通りのことをしている時に殺されたのだという。

教室に戻ったらイスラエル軍に殺された級友の席に花束が置かれているような状況は子供たちに深い心の傷を残すと同氏は言う。

ジェニン難民キャンプやベツレヘム近郊のドハイシャ難民キャンプのような軍事行動が繰り返されている地域に住むパレスチナの子供たちは、人生を価値のないものだと思うようになってしまっているため心理的サポートが必要だと、同氏は指摘する。

別の17歳はこう証言する。「急襲のたびに殉教者が出て、銃撃戦が発生し、家や財産が破壊されます」

「私たちの家の壁も銃弾が貫通しました。寝ている時も危険がつきまといます。狙撃や流れ弾が怖いので、家の中で移動したい時は腹ばいにならなければなりません」

「この恐怖と不安に比べれば死んだほうが幸せです。もう1年以上もまともに眠れていません。銃声や爆発音で目覚めることもありますし、悪夢で目覚めることもあります。夢と現実の区別がつかなくなりました」

ある15歳は語る。「(キャンプは)殉教者の写真でいっぱいになっています。それぞれの殉教者に物語や思い出があります。占領軍の銃弾で負傷した若い男性たちが血を流したまま放置され亡くなるのを家の窓から見ました。完全に焼け焦げた殉教者の遺体も見ました」

「占領軍は私たちの先生ジャワド・バワクナさんを殺しました。私たちにとって一番親しい先生でした。先生はバイタリティーに溢れ、絶えず動いてはその活動を通して私たちにエネルギーを希望を与えてくれました」

「キャンプ内のこのような状況の中、先生は私たちを心理的に大きく支えてくれていました」

「私たちは最大の心の支えの一つを失いました。学校は愛する人達の辛い思い出の場所となってしまったので、できるだけ離れていようとしています」

イスラエル軍はジェニン難民キャンプに侵入した際にある住宅を取り囲み、その家に住む男性を妻と2人の子供、トリンちゃん(2)とミスクちゃん(1)から引き離した。

この父親は後にこう語った。「この事件以来、娘2人の行動が激変しました。特にトリンはそうです。活発な子だったのに人を避けて母親にくっつくようになりましたし、ボーッとしていて、あらゆる音や動きを怖がります。悪夢を見て泣くことも頻繁にあります」

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