ワシントン:米国のバーバラ・リーフ国務次官補(中近東担当)は30日、最近行った中東歴訪中にアラブ諸国の指導者や高官らと生産的な会談を行うことができたと述べた。
一連の会談では、レバノンとチュニジアの経済改革、リビアの選挙、占領下のヨルダン川西岸地区の緊張激化などの政治・経済の緊急課題について幅広く議論された。
3月15日から25日の間にヨルダン、エジプト、レバノン、チュニジア、リビアを歴訪したリーフ国務次官補は、この歴訪は「中東・北アフリカにおける米国の永続的な関心に焦点を当てた」ものであり、この地域における米国の関与の肯定的な枠組みに対するジョー・バイデン大統領のプライオリティを強化する機会となったと述べた。また、いくつかの問題のトラブルシューティングに自身が参加したことも明らかにした。
同国務次官補は、「紛争の激化抑制、民主主義の原則や選挙、人権、重要な経済改革などに対する米国の支持を再確認した」と述べた。
同国務次官補は記者会見(アラブニュースも出席)で、ヨルダン、パレスチナ、イスラエルの高官らと協力して、イスラエルとパレスチナの間のラマダン中の暴力的紛争の脅威を低減するために取り組んだと述べた。今年のラマダンは、もうすぐ始まるユダヤ教の過越の祭およびキリスト教の復活祭と重なっている。
米国、ヨルダン、エジプト、イスラエル、パレスチナ自治政府の代表らは今月、ヨルダンの港湾都市アカバおよびエジプトのシャルム・エル・シェイクで会議を開き、占領下のヨルダン川西岸地区の緊張を緩和するための治安態勢や取り組みについて、同地区内の都市におけるイスラエル軍の作戦を念頭に話し合った。今年に入って少なくとも80人のパレスチナ人が同軍によって殺害され、負傷者や逮捕者も多数出ている。イスラエル人も何人か死亡している。
イスラエルでは昨年11月に総選挙が行われた結果、ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる連立政権が発足した。この政権は同国史上最も右寄りだと言われている。一部の閣僚はパレスチナ人に対する暴力や、パレスチナの土地におけるユダヤ人入植地(国際法上違法とされている)の拡大を公然と呼びかけている。
パレスチナ当局は、イスラエル政府のそういった過激な閣僚らが緊張激化を煽り、占領下の領土における入植者によるパレスチナ人への暴力を支持していると非難している。
最近一部のアラブ諸国がシリアと和解したことについて、シリア体制とバッシャール・アサド大統領を国際的に孤立させる試みが上手くいっていないため代わりに関与を試みようとしているのだと関係者らから言われたリーフ国務次官補は、必ず「そこから何かを引き出す」よう彼らに助言したという。
シリアに対する米国の立場については、米政府は体制と関わり合わないこと、また体制および主要高官への制裁を継続することを改めて表明した。
「シリアに対する米国のアプローチは変わらない。シリアとの関係を正常化するつもりはない」と同国務次官補は述べた。「この体制は国民と地域にとって災難だ」
リーフ国務次官補は、リビアの指導者や主要高官らとトリポリで会談したことを明らかにしたうえで、同国の国民は民主主義と統一を望んでいると述べた。
「リビア国民は選挙を、そして統一された政府を明確に望んでいる」
リーフ国務次官補はレバノン高官らとの会談で、切実に必要とされている経済改革の実施を求めるとともに、新大統領選出の「緊急性を強調した」。昨年11月にミシェル・アウン前大統領の任期が終了して以来、政治家らが後任者について合意に至ることができずにいるため、大統領は空位となっている。
そうしている間にも同国は壊滅的な金融危機に見舞われており、数十億ドルの国際支援を受けるために必要とされている経済改革の実施に向けた取り組みは行き詰まっている。
同国務次官補は、米国はレバノンとその国民に安定をもたらすための取り組みに引き続き関与するとしたうえで、レバノン軍の兵士らに最近提供された資金支援に言及した。また、同国の指導者らに対しては国際通貨基金(IMF)と協力するよう求め、それが同国が経済危機から抜け出すための唯一の「命綱」であると強調した。
リーフ国務次官補はチュニジア訪問の際、米国は同国の国民を、そして民主的政府を頂く彼らの権利を支持すると請け合った。同国の指導者らに対しては経済改革のプロセスを継続するよう求めたという。