ラマッラー:4日、イスラエル政府が物議を醸す極右の安全保障大臣イタマル・ベングビール氏の監督下での国家警備隊設立を承認したことに対し、反対の声が相次いだ。
イスラエルに住む170万人のアラブ人を代表する各団体、反対派の政治家、イスラエルの各治安組織の長官がそろって、この決定とベングビール氏が武装した警備隊を直接管理する可能性について、懸念を表明している。
この動きは、ユダヤ人とアラブ人が混在する町で2021年5月に起きた武力衝突をきっかけに始まったもの。
1月23日にベングビール氏が、イスラエル警察および国境部隊を強化するため、現在イスラエル軍司令部の監督下でヨルダン川西岸地区に配備されているイスラエル国境警察をモデルとする国家警備隊の発足を提案した。同氏は、この新たな部隊を警察隊の増員や有志の戦闘経験者1万人で補強することも可能だと提案した。
そして3月にベングビール氏は、国家警備隊をイスラエル国境警察およびイスラエル警察隊から分離し、国家安全保障省の管轄下に置くことを提案した。
ベングビール氏は以前より、国家警備隊の構想についてアミル・コヘン警察長官と話し合っていた。
ナザレスに近い町イクサルに住むGivat Habiba研究所の戦略ディレクターであり、政治アナリストであるモハメド・ダラウシェ氏はアラブニュースに対し、国家警備隊の設立は、アラブ人や右派の反対者を攻撃する部隊となり得る、政府が資金提供し、国家が支援する準軍事部隊を用意するという極右政治プランの一部だと述べた。
同氏は次のように語った。「この部隊の構成員の大多数は宗教的なシオニスト党の思想を共有する人々となる。そして、これはヨルダン川西岸地区の入植者の中の『ヒルトップ・ユース』と呼ばれる人々を囲い込むものだ」
イスラエル警察は、新規採用者を集めるのに苦労しており、現在、警察官が1,000人以上不足していて、多くのアラブ人はベングビール氏が国家警備隊に入植者や過激派右翼を引きつけることを恐れている。
メディア活動家のセリン・モハメド・ジャバリン氏はアラブニュースに、新たな部隊の承認は、イスラル首相のベンヤミン・ネタニヤフ氏とベングビール氏の間での政治的取引の一部だと述べた。
イスラエルの政治アナリストであるヨニ・ベン・メナシェム氏は、イスラエル国内の多くの治安組織指導者および政治指導者が、ベングビール氏が武装部隊を直接管理する権限を得て、それを民兵組織に変える可能性について懸念していると述べた。
イスラエルの全治安機関によって構成される委員会が、新たな国家警備隊の正確な権限を決定し、90日以内に勧告を提出すると伝えられている。
イスラエル警察のヤーコフ・シャブタイ監察官とイスラエル国防軍のヘルジ・ハレヴィ参謀総長は共に、ベングビール氏の管理下の国家警備隊発足について懸念しているとみられる。
ガリラヤのKufur Yasifの政治アナリストであるジャラル・バナ氏はアラブニュースに対し、イスラエル国内のアラブ人は既にイスラエル警察を信用しておらず、国家警備隊に設立によってさらに市民の権利が侵害されることを恐れていると述べた。
法学教授で元イスラエル国会議員のヨセフ・ジャバリン氏は、国家警備隊発足の本当の目的はアラブ人社会とあらゆるデモを抑圧することだと、アラブニュースに語った。
同氏は、「こういった民兵組織の設立には重大な危険があると考えている」と述べている。また、反対派は設立を阻止するために「全力を尽くす」だろうとも述べた。「もし発足されれば民衆の反抗に合うだろう」