
カイロ:長年紛争が続くスーダンのダルフール地方で抗争が発生し、3日間で少なくとも14人が死亡した。活動家2人が11日に明らかにした。
地元の活動家であるアダム・ハロウン氏によると、西ダルフール州で9日、遠隔地の町フールバランガでバイクに乗ったアラブ系武装集団が商人を射殺した後に衝突が発生した。
ダルフールの難民キャンプの運営を支援している地元組織のアダム・レガール報道官によると、この殺害事件をきっかけにアラブ系部族とアフリカ系部族の間で報復攻撃や略奪の応酬となった。
抗争は11日まで続いた。死者数は増える可能性が高いとハロウン氏は話した。
10日には、西ダルフール州知事が2週間の緊急事態を宣言し、州全域に夜間外出禁止令を出した。
アナリストの見方では、スーダンの遠隔地域におけるここ数ヶ月の部族間抗争の激化は、権力の空白と、政治的混乱が引き起こした緊張によるものだという。
3月下旬に西ダルフール州で発生した衝突では少なくとも5人が死亡した。昨年10月には、スーダンの南東端に位置する青ナイル州で衝突が発生し170人以上が死亡している。
2021年10月にスーダンの軍トップであるアブドゥルファッターハ・アル・ブルハーン将軍が率いる軍事クーデターによって欧米が支援する政府が排除され、短命に終わった民主政への移行が覆されて以来、スーダンは混乱に陥っている。
同じく11日、1人の男が国連スーダン特別代表の暗殺を呼びかけている様子を撮影した動画がソーシャルメディア上に出回ったことを受け、国連は「深く懸念している」と述べた。
この動画の中でアブデルモネイムと名乗っている男は、「私はファトワを要請する」と言っている。「私はフォルカー(・ペルテス特別代表)の暗殺に志願する」
この発言は、失脚した元スーダン大統領のオマル・バシール氏と関係のあるイスラム主義諸派で構成される統括組織が開いた小さな会議と思われる場でなされている。
国連のステファン・ドゥジャリク報道官は11日の記者会見で、「暴力を煽る言葉は現地の分断を深めるだけだ」と述べた。
昨年12月、国際社会からの強い圧力のもと、スーダンを支配する軍と様々な民主化勢力は予備的な合意を結び、民主政移行を復活させることを約束した。しかし、国連をはじめとする国際主体の仲介のもと当事者間で紛糾した協議が数ヶ月続いたが、政治各派はまだ最終的な合意に至っていない。
スーダンのイスラム主義勢力はこの合意に断固として反対し続けている。
ダルフール地方の紛争が最初に勃発したのは2003年、中央アフリカおよびサハラ以南のアフリカ系民族からなる反体制派が、アラブ系民族が中心のハルツームの政府による弾圧を不満として反乱を開始した時だ。
反乱に対し、バシール氏が率いる当時の政府は空爆と民兵組織ジャンジャウィードによる焦土攻撃で応戦した。この紛争で約30万人が死亡し、約270万人がダルフールの家を追われ難民となった。
AP