
ニューヨーク:国連の事務次長兼軍縮担当上級代表は8日に安全保障理事会で、国連軍縮部はシリアの化学兵器計画停止や備蓄廃棄に関連した未解決問題や同国政府による申告書の問題をまだ解決していないと述べた。
中満泉上級代表は、シリア内戦における民間人に対する化学兵器使用への懸念を受けて2013年に安保理で採択された決議2118号に明記されているように、シリア体制の化学兵器計画に関して20の未解決問題に対処し解決する必要があると述べた。
国連と人権団体は、シリア政府が2013年8月、2017年4月、2018年4月の少なくとも3回にわたり首都ダマスカス周辺で国民に対して化学兵器を使用し、数百人の死者と数千人の負傷者を出したと非難している。
中満上級代表は、国連軍縮部は決議2118号の実施に関連した活動に関して化学兵器禁止機関(OPCW)と定期的に連絡をとっていると述べた。
また、軍縮部もその他の国連機関も、シリア体制の化学兵器計画や、同体制が現在も保有している神経作用剤の量に関して、明確な説明を得ることに成功していないと指摘した。シリア当局が提出した申告書には依然として「ギャップ、矛盾、食い違い」があるという。
さらに、シリアの化学兵器計画に関する未解決問題を解決するうえではシリア体制がOPCWに協力することが必要不可欠だと強調した。
「OPCWの技術事務局は現時点では、シリア・アラブ共和国が提出した申告書について、化学兵器禁止条約に従った正確で完全なものと見なすことはできないと評価している」
シリアの国連代表は、2011年に始まり今も続く内戦のいかなる時点でも国民に対して化学兵器を使用した事実はないとしたうえで、「世界のいかなる場所のいかなる状況下での」化学兵器使用も非難すると述べた。
さらに次のように続けた。「我々は一部の方面から我が国に浴びせられている誤った非難と嘘を繰り返し拒否するとともに、シリアはOPCWと十分かつ透明性のある協力を行うこと、また化学兵器禁止条約のもとでの全ての義務を履行することを確認する」
また、シリアは2013年に同条約に署名するという戦略的決定を下し、備蓄や廃棄済みの兵器に関する詳細な情報を提供してきたと述べた。
さらに、シリア当局はOPCWの技術評価チームの仕事に対して非協力的ではないし、遅らせるようなこともしていないとした。
米国の国連代表は、シリア体制は「OPCWに対して十分に協力していないし、透明性を提供していない」と述べた。
イラン代表は、シリア当局は化学兵器禁止条約を遵守していると擁護した。また、欧米諸国は化学兵器に関して「二重規範」を採用していると非難し、シリアにおける化学兵器使用に対する「信頼できる公平な」調査を行うよう求めた。
さらに、欧米は化学兵器問題に対して厳密な技術的・科学的アプローチではなく「政治的アプローチ」を用いているとして、そのようなアプローチは「非建設的」であると述べた。
他の発言者らは、化学兵器廃絶に向けた国際機関の取り組みへの支持を表明し、化学兵器使用を非難したうえで、シリアに対して化学兵器禁止条約のもとでの法的義務を完全に遵守するよう求めた。