
ハルツーム: スーダンの首都ハルツームでは、救命・人道支援のための停戦期間が開始したわずか数分後には戦闘および空爆が報告された。
停戦合意が発効したはずの22日夜午後9時45分過ぎ、ハルツーム北部で軍事衝突、東部で空爆があったという。日中を通して街を揺るがした銃声や爆発の煙の臭いがまだ消えない中でのことだった。
戦闘は続き、人道支援や住民の避難を安全に行う期待は薄れている。
過去の一連の停戦合意は、いずれも守られなかった。
ノルウェー難民評議会のカール・シェンブリ氏はツイッターで「公式声明もむなしく、スーダンでは未だに激しい攻撃が繰り広げられており、何百万人もの市民が命の危険に晒されている」と述べた。
「空虚な言葉ばかりで約束が守られず、人道支援スタッフや子どもたちが殺され、病院が破壊されていく、という状況が一か月以上続いてきた」
スーダンの事実上の指導者アブドゥルファッターフ・ブルハン氏率いる軍と、ブルハンの元副官モハメド・ハムダン・ダグロ氏率いる準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」との間で4月15日に始まった軍事衝突により、これまでに約1000人の死者と100万人を超える難民が出ている。
22日未明、取り残された親族に会いに行ったり、安全を求めて逃れたり、人道支援を受けたりするための停戦を切望するハルツームの住民らは、空爆や対空攻撃は37日間、連続して続いており、両軍とも停戦する気配はほとんどない、と述べた。
「戦闘機がここ周辺を爆撃している」とハルツームに住むマフムード・サラ・エルディン氏は停戦開始までの時間に語った。
過去の停戦合意はいずれも守られなかったものの、合意を仲介したアメリカとサウジアラビアは、今回の停戦合意はこれまでと異なり「当事者によって署名され」たもので、「停戦監視メカニズム」による支持を受けるものだ、と述べた。
軍事衝突が始まって5週間以上が経つが、空爆および銃撃は、夜の間は静かになることが多かった。
アメリカが公開した7ページにわたる合意書によれば、双方は合意が発効する前の二日を用いてその旨を「それぞれの軍隊に通達」し、「合意に従うよう指示」しなければならなかった。
しかし国連スーダン特使のフォルカー・ペルテス氏は国連安保理で、「停戦発効前に軍事的優位を追求しないという双方の約束にも関わらず、今日も戦闘および軍隊の移動が続いている」と述べた。
制空権は政府軍が握っている一方、RSFの部隊が多くいるハルツーム中心部には政府軍の地上部隊は少ない。
「即応支援部隊が市街地から撤退しようとしている気配は見えない」とハルツームに住むサラ・エルディン氏は言う。
停戦合意が発効する数時間前、ダグロ氏は、RSFによる略奪や市民および教会を標的とする攻撃といった違反行為の報道を受け、それらは部隊内部の「クーデターをたくらむ連中」によるものだ、と述べるボイスメッセージをソーシャルメディア上で公開した。
同氏は部隊に向け「勝利か殉死しかない。そして勝利は我々のものだ」と述べた。
安保理ではブルハン派のスーダン代表が、合意に違反する類似行為についてRSFを非難した。
今までの合意は守られなかったものの、市民は今回の停戦が予定通り行われる望みを捨てておらず、それによって日々減っていく食料や医薬品、その他生活必需品の支援を受けられるだろうと期待している。
「私たちはみな飢えている。子どもも老人も、みんなこの戦争で苦しんでいる。水も尽きてきた」とハルツームに住むスアド・アルファテ氏は述べ、双方が「合意に至る」よう強く願った。
国連によると、軍事衝突によってただでさえ貧困に苦しむスーダンは危機状態に陥り、人口の半分に及ぶ2500万人が人道支援を必要とする状況であるという。
ハルツーム南部のスラーヤ・モハメド氏は「ハルツームはもはや人の住める場所ではない。何もかも壊されてしまった」と述べ、停戦合意を逃亡のチャンスととらえている。
22日夜、スーダン医師労働組合は、首都中心から二地区分東部にある「稼働していた唯一の病院」において、RSF部隊によって何日にもわたって行われた院内での「患者やその家族、医療スタッフへの暴行・威圧」および医療スタッフ「個人への脅迫」を受け、当該病院の閉鎖を発表した。
双方によって標的にされ、物資の枯渇する中、軍事衝突以前から脆弱だった医療システムは、ハルツームその他、特に西ダルフールにおいて崩壊寸前である、と衛生兵らは繰り返し警告してきた。
国連の報告によると、西ダルフールの州都ジュナイナでは数百人もの市民の犠牲者が出ており、ペルテス氏は安保理で「対立が民族的な様相を帯びるにつれ、拡大・長期化の恐れがあり、地域にも影響を与えることになる」と述べた。
スーダン医師労働組合の報告によると、先週の南ダルフール州都のニャラでの激しい戦闘によって、28人の犠牲者が出た。
ニャラの市場で店主を務めるオスマン・アルゼイン氏は、度重なる攻撃と略奪を受け「停戦が予定通り行われれば」街を出るつもりだ、と語った。
「(停戦が)スーダン全体で正しく行われるとは思えませんが」と同氏は述べた。
独裁的だったオマル・アル・バシール氏の失脚後に導入された民政復帰への不確かな道のりは、ブルハン氏とダグロ氏によって共同で企図された2021年10月のクーデターにより頓挫された。
両者の関係は後に、RSFの正規軍への統合等をめぐって権力闘争へと発展した。
AFP