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イスラエル政府はパレスチナ人教育に対して戦争を仕掛けている=パレスチナ

スハダ・クーザ校舎で授業を受けるパレスチナ人少女たち=2015年9月5日撮影、ガザ地区南部カーンユニス。(AFP/ファイル)
スハダ・クーザ校舎で授業を受けるパレスチナ人少女たち=2015年9月5日撮影、ガザ地区南部カーンユニス。(AFP/ファイル)
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02 Jun 2023 06:06:08 GMT9
02 Jun 2023 06:06:08 GMT9
  • アラブ人学校への締め付けを強化する法案と、アラブ人教師の解雇規制を緩和する法案に非難の声が上がっている

モハメッド・ナジブ

ラマッラー:パレスチナの活動家と政治指導者らは、イスラエル当局が東エルサレムでのパレスチナ人の教育に戦争を仕掛けていると非難した。

170万人のパレスチナ人が住む占領下の東エルサレムとイスラエル国内のパレスチナ人コミュニティの学校に対し監督を強化する2つの法案がイスラエルのクネセトによって承認されたことについて、彼らは、パレスチナ人教師が担当する教育課程のイスラエル化として断じている。

パレスチナの見方では、パレスチナ人教師がイスラエルによる占領、抑圧行為、隔離政策への反対運動に関わっているという口実の下、イスラエルの諜報機関(シンベトとして知られている)が彼らに対する活動監視や、解雇規制の緩和への関与を深めているという。

東エルサレムのファタハ運動の著名な指導者であるアーメド・グナイム氏は、アラブニュースに対し、イスラエルは教育カリキュラムからパレスチナ人のアイデンティティ、歴史、文化を消し去ろうとしている、と話した。そして今度は、教師そのものを標的にしている、と言う。

イスラエルは占領者として、パレスチナ人のアイデンティティと、その世代間継承を図る努力の重要性を認識している、と彼はアラブニュースに語った。それゆえに、東エルサレム、ヨルダン川西岸、ガザ地区、その他地域に居住するパレスチナ人を結びつけるこのアイデンティティを弱めようとしているのだ。

「イスラエルはパレスチナ人に、知識と教育のユダヤ化、イスラエル化を受け入れさせようとしているが、これは成功しないだろう」と彼は付け加えた。

パレスチナ外務省は、イスラエルのクネセトが2法案を採択したことについて非難を表明した。

同省は、イスラエルが教師と生徒に対する制限的措置を強化している点について痛烈に批判した。具体的には、イスラエルが定めたカリキュラムを教える学校を認可する動きや、法律に違反したとされる生徒、教師、教育管理者の告訴を容易にする取り組みを指摘した。

 

木曜日に発表した声明の中では、パレスチナ人への迫害を正当化することになるこの人種差別的な法律がもたらす成り行きを深刻に注視している、と述べた。

「複数世代のパレスチナ人の意識をコントロールし、彼らに占領者の手続きや措置を呑ませようとしている試みは明らかだ」と同省は述べ、この動きは「国際法の明白な違反」にあたると付け加えた。

同省は、人権に関する国際機関に対し、これらの法律の制定を阻止するために声を上げ、緊急に介入するよう呼びかけた。

また、平和的かつ教育的な手段を通して自らのアイデンティティを守り、思想と言論の自由を実践する、世界人権宣言に定められた市民の権利が、これらの法律によって侵害されてしまうとしている。

リクード党のアミット・ハレヴィ議員によって提出された、教員免許の付与基準を厳格化する法案は、クネセトのメンバー45人が支持し、25人が反対した。

学校監督法の改正案として提出されたこの法案は、教育省に、パレスチナ人の教員採用にあたって「安全保障上の背景」の審査を義務付けるものである。

また、教員免許の付与には、候補者が「安全保障に関わる経歴やテロ行為の実行との関連がないこと」を条件としている。

法案は、教育省長官に対し、「テロ行為で有罪判決」を受けた教師の任命承認を取り消し、「テロ行為実行の疑いで刑事手続きが開始」された教師の教員免許を停止するよう求めている。

また、占領下にあるエルサレムを対象としていることを定めている。

加えて、「パレスチナが定めたカリキュラムが教えられている東エルサレムの学校では、無謀な扇動の肥沃な土壌が形成されており、これはユダヤ人とイスラエル国家の正当性否定と悪魔化であり、また、テロリストとテロ活動を美化している」との主張を含んでいる。

パレスチナのカリキュラムを教える学校の予算制限を目的とした別の法案でも、同様の背景が述べられている。

法案では、イタマル・ベングビール氏を党首とする差別主義的政党オツマ・イエフディットのズヴィ・ヴォーゲル議員が提出したもので、「テロの支持またはテロ組織への所属」の疑いがかけられた教師の解雇を許可する委員会の設置を規定しており、イスラエルとその行動に対して平和的に抗議している人物や組織が対象となり得る。

委員会のメンバーは、教育大臣によって任命された、教育システム、警察、シンベト、地方自治体からの代表者を含む5人で構成すると定められている。

また、委員会の権限として、教師が尋問で「敵国の武力闘争、テロ組織、テロ行為への支持、またはテロ組織への所属を表明した」場合、その任命や雇用継続を拒否することが可能となる。

ベングビール氏は、前回のクネセトの会期中に同様の法案を提出している。

現在のクネセットの会期中には、ベニー・ガンツ氏率いる右派政党の連合ナショナル・キャンプのシェラン・ハスケル・クネセツ議員も同様の法案を提出している。

法案では、対象として東エルサレムで数万人の生徒を教える数十のパレスチナ人学校を指定している。

法案が成立すれば、学校が東エルサレムかイスラエル国内のいずれにあるかを問わず、イスラエルの諜報機関が数千人のパレスチナ人教師の問題に干渉することが可能になる。

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