メネクセ・トキャイ

アンカラ：クルディスタン労働者党（PKK）が4ヶ月にわたる停戦を一方的に終了宣言したことを受け、トルコ政府の治安組織と同国の次の政策の動きに注目が集まっている。

シリア北東部に駐留する米国と、PKKのシリア関連組織と見なされるシリアのクルド系組織YPGが率いる民兵同盟のシリア民主軍（SDF）との現地での協力関係の文脈の中で、トルコと米国の関係にどのような影響があるかについて、議論が巻き起こっている。 

「中東研究所」の上級研究員兼ディレクターであるチャールズ·リスター氏は次のようにツイートした。「PKKが攻撃を再開する方法によっては、米国はシリア北東部でSDFと並んでかなりの圧力を受ける可能性がある」

2月に壊滅的な地震がトルコとシリアを襲い何万人もの人々が犠牲になった後、停戦が実施された。それはトルコの選挙期間中だった。 

PKKの地域機構を代表する上部組織のKCKは、停戦の終了を正当化し、「トルコ軍はカンディル山脈とイラク·クルディスタン地域でPKKの潜伏場所への攻撃を続けている」とし、さらに「シンジャールとマフムールの民間人を攻撃している」と主張した。

PKKは、トルコ、ヨーロッパ、米国で違法なテロ組織として指定されている。

PKKのメンバーであるフセイン·アラサン氏は最近スレイマニヤの空爆で負傷し、翌日死亡した。親政府派のイェニ·サファク紙は、同氏がトルコ諜報機関による特別作戦の後に殺害されたと報じた。

一方、トルコ国防省は14日、武装ドローンがシリア北部で使用され、テロリスト41人を「制圧」したと発表した。

米国に拠点を置く諜報·安全保障系コンサルタント企業「スーファン·グループ」のリサーチディレクターをつとめるコリン·P·クラーク氏は、PKKが停戦を終了すれば、トルコはより積極的に攻撃作戦を行うようになるだろうと述べた。

同氏はアラブニュースにこう語った。「特に、トルコのレジェップ·タイイップ·エルドアン大統領が再選された今、大統領は米国を刺激する行動をあまり気にしなくなるだろう」

「SDFの問題は、トルコ政府と米政府間の多くの重要な問題の1つにすぎず、エルドアン大統領がスウェーデンのNATO加盟や同様の問題を利用して、PKKとの戦いに関してより柔軟性を得ることを強く期待している」

トルコは、7月11～12日にかけてヴィリニュスで開催されるNATO首脳会議に先立ち、スウェーデン、フィンランドとの会談を行なう予定だ。

エルドアン大統領はスウェーデンがPKKテロリストを匿っていると非難しており、スウェーデンのNATO申請停滞を打開するために、スウェーデンに対しPKKメンバーの国内での活動を阻止するよう望んでおり、トルコのテロリズムに関する安全保障上の懸念に対処するようスウェーデンに求めている。

スウェーデンの最高裁判所は最近、PKK支持者をトルコへ引き渡すことを政府に許可した。

リスター氏は、トルコの選挙が終わったことで、同国がシリア北部のPKK勢力に対する行動を激化させる余地を与えたと考えている。

同氏はアラブニュースにこう語った。「トルコの攻撃はここ数日、十数カ所に及ぶ地域で急増し、シリア政府軍も攻撃を受けている」

「それは、最近の（バッシャール·）アサド政権を正常化しようとする現地の動きと相まって、安定ではなく不安定を引き起こす条件を作り出した」

リスター氏によると、トルコはこの機会を利用しており、PKKも同様である。

さらにこう付け加えた。「アサド政権の地域的な関係正常化が続くにつれ、PKKの米国同盟に対する長期的な懐疑論も前面に出て来ており、PKKのより強硬な傾向をSDFが封じ込める力は弱まっている」

「我々はシリア危機の中で非常に不安定な時期に入っており、その中で、米国主導の協力体制が北東部での支配を維持する能力は大きな圧力を受けるだろう」

国際危機グループのトルコ担当上級アナリストであるベルカイ· マンディラジ氏はアラブニュースに次のように語った。「トルコは引き続き、この地域のPKKとその関連組織に対しさらなる反撃を続けている」

「緊張緩和への方向転換は、遠い見通しのままである。シリア北東部における米国の継続的なSDF支援は、依然としてトルコ政府にとって主要な懸念事項であり、容易な解決法は見えない」

国際危機グループは、トルコ·PKK紛争に関する視覚的な説明を定期的に更新している。詳細はこちらから、https://www.crisisgroup.org/content/turkeys-pkk-conflict-visual-explainer