
ブリュッセル: ヨーロッパ連合(EU)は15日、シリア援助資金を募るための国際会議を開催した。シリアでは2011年以来、戦争に巻き込まれた国民の生活は悲惨な状況にあったが、今年初めの地震によって状況は更に悪化した。
国連の3つの機関は、需要は「膨大」であると述べ、現状2023年のシリア国内外のシリア人被災者を支援する計画に必要な資金の10分の1しか確保できていない、と警鐘を鳴らした。
国連主導のシリア危機への対応を共同で指揮するマーティン・グリフィス氏、フィリッポ・グランディ氏、アヒム・シュタイナー氏は共同声明の中で「国際社会からのもっと大きな経済支援が必要だ」と述べた。
「シリアの人々とシリア難民を受け入れている国へのさらなる支援は必須である。需要は膨大だ」と同氏らは述べた。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2011年以来、1400万人以上のシリア人が自分の家を追われ、680万人が国内で避難を余儀なくされており、国民のほぼ全体が貧困ライン以下で生活している。
約550万人のシリア難民が近隣のトルコ、レバノン、ヨルダン、イラクおよびエジプトで生活している。
共同声明を発表した同氏らは、昨年の同様の会議でシリアおよび周辺国に対する支援金として提示された67億ドルと同等の誓約を望むと述べた。
同氏らは、国連が計画しているシリア国内に対する54億ドルの支援および周辺国のシリア難民に対する54億ドルの支援は、絶望的に足りていないと警告した。
「シリアの人道支援資金は急増する需要に追いついていない」と会議を主催する人道援助・危機管理担当のヤネス・レナルチッチ欧州委員は述べた。
2011年、シリアのバッシャール・アル・アサド政権に対する平和的な抗議運動から始まったこの紛争は、ロシア、イラン、トルコなどの国を巻き込んで多面的なものとなっていった。この戦争でこれまでに35万人以上の犠牲者が出た。
最終的に、ロシアの介入によってアサド政権が優勢となった。アサド政権は先月、周辺国からの長年の孤立を経て、アラブ連盟のサミットに温かく迎えられた。
一方で西側諸国はアサド政権との関係正常化を拒否しており、シリアの大部分はトルコの支援する反政府勢力、イスラム過激派組織およびアメリカの支援するクルド人民兵組織の支配下にある。
レナルチッチ欧州委員はまた、トルコからシリア北部への人道支援のアクセスを拡大するよう求めた。
ロイター