
シカゴ:アメリカ・アラブ反差別委員会(American-Arab Anti-Discrimination Committee:ADC)は26日、ジョー・バイデン大統領に対し、ヨルダン川西岸地区で先週発生した、パレスチナ住民を襲う相次ぐ暴力行為に関与した米国人の犯罪捜査を行うことを強く求めた。
ADCの要求に続いて、アラブニュースの記事では、アブドゥルナーセル・ラシッド・イリノイ州知事が、先週、ラシッド氏の両親と家族が住むヨルダン川西岸地区Turmosayaの村で、イスラエル入植者による相次ぐ暴力行為の渦中について詳細を綴った。
武装した入植者は、イスラエル軍の支援を受けて、イスラエルが占領するヨルダン川西岸地区の北部25マイル(約40km)にあるTurmosayaのあちらこちらで暴れ回った。
住民の1人は銃撃を受けて死亡し、その他多くが負傷した。入植者は車や家、オリーブ畑に火を放った。
ADCのアベド・アユーブ委員長によると、ADCは「アントニー・ブリンケン国務長官とメリック・ガーランド司法長官に対し、占領されているヨルダン川西岸地区にあるパレスチナ人の村を標的とした直近の暴力行為において、犯罪に関与した可能性のある米国市民の即時調査を要求した」
さらにアユーブ氏によると、6月21日以降、ヨルダン川西岸地区では、毎日、入植者の暴徒がパレスチナ人の村を怯えさせているという。
「暴徒は家を破壊し、車を燃やし、少なくともパレスチナ人1人を殺害しました。数十年にわたり、米国市民はイスラエル入植地へと移住し、そこで何のお咎めもなくパレスチナ人への暴力に加担しています」
「また、これら米国市民の多くは、入植地への資金提供とパレスチナ人への暴力を行う上で、非営利税法の恩恵を受けています」
「米国市民が、直近にあった残忍な暴力行為の犯人の一部であることを信じる強力な根拠があります。これら米国市民はパレスチナ人やその他の米国市民を恐怖に陥れる行為に関与しています」
「彼らは自らの行動に対する責任を負わなければなりません。そして米国は、これらの人物が行なったことを、法に照らして確実に裁くための措置を、必ずとらなければなりません」
ラシッド氏はアラブニュースに対し「パレスチナ人の親が皆そうしたように、私は自分の子供たちと話をしなければなりませんでした。それは、イスラエル政府は、私たちにも当然、等しい権利があると信じていないこと、そして、私たちは傷つけられたり、さらには殺されたりする可能性すらあるため、並外れた注意を払う必要があることについてでした」と述べた。
暴力行為はヨルダン川西岸地区の至るところで数ヶ月にわたって発生しており、200人近くのパレスチナ人と40人程度のイスラエル人が死亡している。
アユーブ氏によると、ADC職員は、米国市民を守る上で米国政府がとる手順について議論するため、国務省と司法省との会談を持とうとしている。
「米国人の家族と、選出された職員が、イスラエル政府と軍による援護と完全なる保護を受けたイスラエル人入植者の集団から攻撃を受けていることは、良心に照らして受け入れ難いことです」
「ADCは、アラブ系、パレスチナ系、ムスリム系米国人の安全について懸念を表明し、連邦政府によってコミュニティが保護されるという確約を取り付けようとしています」
アユーブ氏がアラブニュースに語ったところでは、ADCはヨルダン川西岸地区の現地に弁護士を抱えており、入植者による暴力行為の証拠を記録に残そうとしているという。
ラシッド氏はイリノイ州議会にいる同僚へ手紙を送り、行動を起こすよう、そして現地で何が起きているかに注意を払うよう促した。
「6月21日水曜日、私はラマッラー近くの町にいて、大慌ての母から電話を受けた時には使い走りをしていました」と手紙にはある。
「母は、村が、武装したイスラエル人入植者の暴徒による襲撃を受けていると言いました。話している最中に、私のスマホには今現在の襲撃の動画や写真が殺到しました」
「私は電話を切り、米国大使館や国務省などとの連絡を始めました。私は両親のもとにいて守ってあげられないことに、ものすごく罪悪感を覚えました」
「数百人のイスラエル人入植者が村に押しかけ、数十の家や車に火を放ち、農地を焼き払い、多くの村人を負傷させていたことがすぐにわかりました」
「一人の若い男性、Omar Quttain氏は殺されました。妻は米国市民で2人の子供がいます」
ラシッド氏はさらに言った。「翌日の木曜日に、入植者たちが戻ってきたというテキストメッセージを見た時の感情は決して忘れません。今回は近所にやってきました」
「それからすぐに、道路を走る人たちを目撃しました。1人の男性は家から家へ全速力で駆けつけて『家から逃げろ!』と叫んでいました」
「それから銃声が聞こえ始めたので、家の中にとどまる必要があると思いました。私は外へ飛び出すと、家族に向かって中へ入れと叫びました」
ラシッド氏によると、家族と一緒に「ドアを塞ぎ、窓を閉め、安全策を考え始め」ていると、入植者たちによる暴力行為がエスカレートしたという。
「私の7歳の娘は私にしがみついて泣きながら『私たちみんな撃たれたらどうしたらいいの?』と聞きました。皆がその時、殺されてしまうかどうか、私には本当にわかりませんでした」
「11歳の甥は道路でいとこと遊んでいました。私の義理の妹はパニックになっていました。私たちは妹が向こうへ走って行かないよう止めなければなりませんでした。射線に入ってしまうかもしれなかったからです」
アラブニュースは国務省職員にコメントを求めたが回答は断られた。