• 安保理の各国は自制を求め、「長期的な平和の回復および緊張緩和のための追加措置を勧告」した

国際連合：　国連安全保障理事会は27日、イスラエルとパレスチナに対し、不安定なヨルダン川西岸地区の緊張を更に高めるような行動を避けるよう求めた。

国連の声明は、立場の分かれる問題における団結の瞬間として米国とロシアの両国からも支持され、特にイスラエル軍およびイスラエル人入植者による暴力が激化していることに対する国際社会の懸念の広がりを反映する形となった。

声明は、ヨルダン川西岸地区で多数のパレスチナ人およびイスラエル人犠牲者を出し、国連のトル・ウェネスランド中東特使が「懸念すべき暴力の急増」と呼んだ一連の事件を受けて発表された。同氏は安保理で、「暴力を抑制するために有効な措置を今とらなければ、事態はさらに悪化する可能性が極めて高い」と警鐘を鳴らした。

ウェネスランド中東特使は、時にイスラエル軍の支援を伴う「多くの武装した入植者を含む群衆が組織的にパレスチナ人の村を攻撃し、彼らの共同体を恐怖に陥れているなどの、入植者による極端に激化した暴力」に特別の懸念を抱いている、と述べた。

安保理の各国は自制を求め、「長期的な平和の回復および緊張緩和のための追加措置を勧告」した。

今年はここ数年で、パレスチナ人にとって最も死傷者数の多い年となっており、先週にも入植者による暴力が大きくエスカレートした。2023年には少なくとも137人のパレスチナ人がヨルダン川西岸地区でイスラエル人による攻撃で殺害された。24日現在、24人のイスラエル側の人々がパレスチナ人による攻撃で殺害された。

イスラエルの最も近しい味方である米国は、安保理の声明を支持し、米国のロバート・ウッド次席大使は安保理で、バイデン政権はウェネスランド中東特使の懸念を共有するものであると述べた。

同氏は、米国は6月21日にヨルダン川西岸地区のエリで発生した、イスラエル人4人の死者および多数の負傷者を出した「イスラエル人に対する残忍なテロ攻撃」を「最も強い言葉で」非難する、と述べた。また同時に「過激な入植者によって最近行われた、パレスチナ人の死者1人および負傷者複数、およびパレスチナ人の所有物に対する甚大な損害を出した攻撃」を非難すると同氏は述べた。

暴力が激化するなか、ヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地に5000軒以上の新しい住宅を建設し、その承認ペースを上げていこうとするイスラエルの極右政府の計画に対して、安保理では多くの批判が起こった。

国際法の下では、占領地のイスラエル人入植地はいずれも違法だ。

ウェネスランド中東特使は、イスラエルによる入植地の「絶え間ない拡大」は暴力を助長し、「パレスチナ人が自分たちの国土と資源を利用することを妨げ、ヨルダン川西岸地区の占領地の地理を改変、将来のパレスチナ国家の可能性を脅かしている」と警鐘を鳴らした。

ウッド米次席大使は、米国はイスラエルの、新しい入植地住宅を建設するとの発表、および入植地の設計・承認ペースを上げる措置をとるとの報告を受け、「深い憂慮」を示すと述べた。

ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使もまた、イスラエル人によって6月19日にジェニンの難民キャンプで7人のパレスチナ人が殺害された襲撃事件、イスラエル人入植者とパレスチナ人の間で発生している武力衝突、およびイスラエルが入植地の拡大および合法化に向けた動きを強めていることを挙げ、暴力の激化に強い懸念を示した。

ネベンジャ露国連大使は、イスラエル人とパレスチナ人が隣同士で平和に暮らすことで合意する「二国間解決」に向けた交渉が再開されない限り、事態は「一触即発」であり続けるだろう、と述べた。同氏は、ロシアは停滞した協議に刺激を与えるためアラブ連盟および近隣諸国との会合を要請する、と重ねて述べた。

AP