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イラク、気候災害対策としてマングローブを植林

マングローブ育成プロジェクトの一環としてマングローブの苗を運ぶ、技術者のアイメン・アル・ルバイエさん(47)。バスラのシャット・アル・アラブ川の支流地域。(ロイター)
マングローブ育成プロジェクトの一環としてマングローブの苗を運ぶ、技術者のアイメン・アル・ルバイエさん(47)。バスラのシャット・アル・アラブ川の支流地域。(ロイター)
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30 Jun 2023 12:06:34 GMT9
30 Jun 2023 12:06:34 GMT9
  • イラクの政府機関と国連機関は、コール・アル・ズベイルの干潟地域において最大400万本のマングローブの育成を目指している

バスラ:イラク南部の広大な干潟で、アイメン・アル・ルバイエさんはマングローブの苗を植える。彼の後ろの地平線に立ち上る黒い煙が、彼が回復しようと努力している生態系被害を物語っている。

農業技術者であるルバイエさんは、イラクの政府機関と国連機関が始めたプロジェクトで働いている。主要な油田の近くにあるコール・アル・ズベイルの干潟地域において最大400万本のマングローブを育成する計画だ。

足首までの深さの泥を長靴にまとわりつかせながら、彼は苗を一つ植えては一歩進んで次の苗を植える。この作業を積み重ねることで、海岸を保護し、脆弱な生物種を守り、気候変動の影響を防ぐマングローブ林ができると彼は期待している。

彼は、マングローブには二酸化炭素を回収・貯留する能力があると説明し、「この植物のおかげで私たちは地球温暖化対策のための時間と労力を節約できるでしょう」と話す。

世界銀行によると、イラクの二酸化炭素排出量は過去10年で2倍以上に増加しており、対経済規模比で見るとイラクは地域で最も排出量の多い国の一つとなっている。

バスラの南にあるこの干潟は、水と塩と泥と霞んだ空が織りなす焼けつくような風景だ。その風景を引き裂いている水路を、ルバイエさんとそのチームはボートで移動する。

遠くに見える煙は、約20キロメートル(13マイル)離れたズバイル油田の近くにある石油化学プラントから立ち上っている。このプラントは、バスラ地域における主要な産業(そして主要な汚染源)でありイラクの収入の大部分をもたらしている大規模なエネルギー部門の一部である。

イラク南部はかつては豊かな湿地帯で知られていた。しかし、その湿地帯は数十年前に環境災害によって干上がってしまい、その複雑な生態系は破壊され、生息していた生物種の多くは絶滅の危機に追い込まれた。

かつて湿地帯が広がっていた場所の南にあるこの干潟にマングローブを植林することで、沿岸の地域社会を嵐や洪水から保護できるだけでなく、イラクの希少な淡水を使用して灌漑を行うことなく絶滅危惧種のための新たな生息地を作り出すことができる。

この計画は、隣国クウェート、そしてアラビア湾の反対側にあるUAEにおいて、マングローブ林の再生プロジェクトが成功したことから着想を得たものだ。

マングローブは灌漑水を必要とすることなく「我々が経験しているこの厳しい環境に耐えることができる」とルバイエさんは説明する。他の植物のほとんどが生育できないような高温で泥が多く塩分濃度が高い環境でも育つのだ。

バスラの地方自治体・大学やイラク環境省と共にこの計画に関わった国連世界食糧計画のアフメド・アルバージ氏によると、新しいマングローブの木は1万2000本の苗を育てている苗床から届くのだという。

ロイター

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