
アンカラ:トルコの外務大臣は4日に、スウェーデン当局が同国内においてコーランを燃やす抗議運動を阻止できなかったことは、安全保障上の懸念を生み、NATO加盟国候補としてのスウェーデンの信頼性に対する疑問を投げかけていると述べた。
しかし、ハカン・フィダン外相は、スウェーデン政府が「宿題を完了させ」、トルコの懸念に対処する努力を押し進めるならば、トルコはなおも軍事同盟NATOへのスウェーデンの加盟を承認するだろうと述べた。
「スウェーデンの安全保障体制が、挑発行為を阻止できず、NATOにさらなる力ではなく問題をもたらす(国)というイメージを提示するという事実は、戦略面・安全保障面について考えさせられるものだ」と、ヨルダン外相との共同記者会見でフィダン氏は述べた。「スウェーデンのNATO加盟については、それが負担となるか利益となるかについての議論の余地が増している」
スウェーデンとフィンランドは昨年、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、数十年にわたる中立政策を放棄してNATOへの加盟申請を行った。
トルコはスウェーデンのNATO加盟についての批准を保留し、クルド系武装組織や、2016年のクーデター未遂を起こしたとトルコ政府が目するネットワークのメンバーといった、トルコ政府が安全保障上の脅威とみなす組織への対応が甘すぎるとして、スウェーデンを非難している。
トルコ政府は、イスラム教諸国から非難を集めた先週の事件をはじめとするコーランを燃やす抗議運動のほか、非合法のクルディスタン労働者党(PKK)の支持者によるスウェーデンにおける一連のデモに対しても憤っている。
PKKはトルコに対し38年にわたる反乱を続けており、これにより数万人が死亡している。米国と欧州連合(EU)はPKKをテロ組織に指定している。
NATOは、加盟国の首脳が7月11日から12日にリトアニアで会合を開くまでにスウェーデンを迎え入れることを目指しており、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、トルコによるスウェーデンの加盟反対を克服するため、7月6日にトルコ・スウェーデン・フィンランドの高官による会合を開くことを決めている。
NATOの拡大には、既存加盟国全てによる全会一致の承認が必要だ。トルコとハンガリーだけが、まだスウェーデンの加盟について批准していない。
スウェーデンは、加盟申請後に対テロ法を改正した。以前にトルコの諜報機関の長官を務め、先月に外務大臣に任命されたフィダン氏は、テロ組織はスウェーデンにおいてデモを行い、資金を集め、メンバーを募り続けることができると主張した。
「スウェーデンが努力を続け、宿題を成し遂げるならば、フィンランドの場合がそうであったように、代替策は常にある」と、フィダン氏は述べた。この発言は、スウェーデンとフィンランドが昨年トルコと交わした、トルコ政府の懸念に対処することに合意するという覚書に言及したもの。
一方、フランシスコ教皇はアラブ首長国連邦(UAE)のAl-Ittihad新聞によるインタビューの中で、先週ストックホルム中心部にあるモスクの外で行われたコーランを焼却する抗議運動を嘆いた。スウェーデン警察は、類似のコーラン焼却に対する禁止命令を裁判所が覆したことを受け、言論の自由を理由に実行を許可した。
「作者が神聖視するいかなる本に対しても、信者への敬意に基づいて敬意を払うべきで、表現の自由が他者を貶める口実として用いられることはあってはならず、それを許すことは拒絶され、非難されるべきだ」と、教皇が述べたと伝えられている。
ヨルダンのアイマン・サファディ外相も、宗教的価値を相互に尊重し合い、このような抗議運動を防ぐよう呼びかけた。
国連人権理事会の広報官は、パキスタンからの要請を受けて、コーランの冒涜のような宗教的嫌悪の行動の「警戒すべき増加」について同理事会で話し合う予定だと述べた。
AP