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欧米、イランのウラン濃縮やロシアへのドローン供与をめぐりロシア・イランと舌戦

国連安全保障理事会の会合の様子。ニューヨーク。(AFP)
国連安全保障理事会の会合の様子。ニューヨーク。(AFP)
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08 Jul 2023 07:07:13 GMT9
08 Jul 2023 07:07:13 GMT9
  • フランス、ドイツ、イギリスは、イランは「核搭載可能な弾道ミサイルの開発・改良を続けている」と述べた

ニューヨーク:国連安全保障理事会で、米国とその西側同盟諸国がロシアおよびイランと衝突した。イランがウラン濃縮を進めていること、またロシアがウクライナ侵攻に使用している戦闘ドローンをイランが供与しているとの報道をめぐってだ。

この激しい応酬が行われたのは、2015年の核合意を承認した決議の実施に関する半年に一回の安保理会合においてだ。包括的共同行動計画(JCPOA)として知られる核合意はイランと主要国6ヶ国との間で結ばれたが、米国は2018年にドナルド・トランプ大統領(当時)のもとで離脱した。

会合の冒頭、ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は、JCPOAに参加していないウクライナをこの会合に招待することで「公然と政治化されたショー」を行おうとしているとして、現在安保理議長国を務めるイギリスを非難した。また、ウクライナの出席に関する手続き投票の実施を要求した。

米国のロバート・ウッド国連代理大使はこれに対し、イランとロシアは事前に安保理の承認を得ずに、2015年の決議に違反して、ウクライナで使用されているドローンの移転に関与していると非難した。

ウッド代理大使は、「これはウクライナの人々の生死に関わる問題だ」と述べた。「イランによる決議第2231号違反の壊滅的な影響を直接被っているウクライナから、この会合で発言する機会を奪うことは受け入れがたい」

その後、この会合の議長を務めていたイギリスのバーバラ・ウッドワード国連大使が、ウクライナの出席を認めるべきかについて投票を呼びかけた。12加盟国が賛成し、中国とロシアは反対し、モザンビークは棄権した。

米国、イギリス、フランス、ウクライナは国連のアントニオ・グテーレス事務総長に対し、決議第2231号が同事務総長にその権限を与えているとして、ウクライナに調査団を派遣してロシアによる攻撃に使用されたドローンの残骸を調査させるよう求めた。

ロシアは同事務総長にその権限はないと主張した。ネベンジャ大使は国連事務局に対し、そのような行動を取らないよう警告した。

イランのアミール・サイード・イラバニ国連大使は、「そのような違法な活動に基づく」国連の調査結果は「無効である」と述べた。

国連のローズマリー・ディカルロ政務平和構築支援担当事務次長は、安保理に対するブリーフィングの中で、フランス、ドイツ、ウクライナ、イギリス、米国から、イランがロシアにドローンを供与しているとされる問題に関する書簡を受け取ったこと、また回収されたドローンの写真やそれについての分析を提供されたことを明らかにした。また、「事務局は入手できる情報を引き続き精査する」と述べたが、国連による調査がいつ実施されるのか、あるいはそもそも実施されるのかについては明言しなかった。

ウクライナのセルギー・キスリツァ国連大使は安保理に対し、ウクライナに向け1000機以上のドローンが発射されたことが記録されており、ウクライナ国内外の専門家の分析によりそれらがイラン製であることが確認されていると述べた。

ロシアのネベンジャ大使は、ウクライナと欧米は偽情報を煽っていると非難し、彼らが言うところの証拠は滑稽だと切り捨てた。

JCPOA参加国であるフランス、ドイツ、イギリスは共同声明の中で、イランは2015年の核合意のもとでの核開発に関する約束にも4年間にわたって違反していると述べた。

また、イランの濃縮ウランの合計備蓄量は2015年の核合意で認められていた量の21倍に達しているとした国際原子力機関(IAEA)の報告書に言及するとともに、IAEAが1月に兵器級の90%に近い83.7%にまで濃縮されたウラン粒子を検知したことに触れた。そのレベルまで濃縮されたウランの備蓄があれば、イランはその気になれば短期間で原子爆弾を製造することができる。

2015年の核合意では、イランのウラン備蓄は300kgまで、濃縮度は原子力発電所での使用に十分な3.67%までに制限されていた。しかし、イランは米国の離脱を受けて核開発をエスカレートさせ、濃縮度60%のウランの生産を続けている。これは民生利用向けの濃縮度ではないと、核拡散防止の専門家から既に指摘されている。

イランはIAEAに対し、濃縮度83.7%の粒子が検出されたことの説明として、濃縮度の「意図しない変動」が発生した可能性があると伝えた。同国のイラバニ大使とロシアのネベンジャ大使は、この問題は解決済みだと主張した。

フランス、ドイツ、イギリスはまた、イランは「核搭載可能な弾道ミサイルの開発・改良を続けている」としたうえで、弾頭搭載可能で2000kmの射程距離を持つミサイルの実験が5月25日に実施されたことに言及した。

米国のウッド代理大使は、「弾道ミサイルに関するイランの動きは、特に同国の核開発の野心や脅迫的なレトリックを考えれば、地域と世界の平和と安定に対する持続的な脅威である」と述べた。

イラバニ大使はこれに対し、「イランは平和的な核利用を精力的に追求することを完全に決意しており、濃縮もそれに含まれる」と応戦した。

米国の核合意への復帰とイランが合意の約束を再び遵守することについての交渉は昨年8月に決裂した。EUのオロフ・スクーグ大使は安保理に対し、「JCPOAを復活させるための新たな努力が始まった時の出発点とできるように」EUによる妥協案はまだ卓上に置いてあると伝えた。

イラバニ大使は、「相手側にその気があれば、我々にはまだ交渉再開の用意がある」と述べた。

AP

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