
エルサレム:イスラエル議会は10日、国民を二分している司法改革を推し進める新たな政治攻勢の中で、裁判所の権限を制限する法案を採決する。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる極右政権によるこの改革案は、1月の発表以来、国内史上最大の抗議運動を巻き起こしている。
何万人ものデモ参加者が毎週街頭で集会を開き、イスラエル司法制度改革の中止を求めている。
バイデン米大統領をはじめとする強い反対と国際的な批判の高まりを受け、ネタニヤフ首相は3月、改革案について協議を可能にする「一時停止」を命じた。
しかし、イスラエルの2大野党指導者ヤイール・ラピード氏とベニー・ガンツ氏が交渉から離脱したため、ネタニヤフ首相は現在、国会での法案可決を改めて目指している。
10日の後半、国会は、政府が決定した「合理性」を裁定する司法の権利の排除を目的とした法案の1回目の審議を行う。
それによって生じうる影響の1つに閣僚の任命がある。
ネタニヤフ首相は1月、過去の脱税の有罪判決をめぐって最高裁の介入を受け、超正統派ユダヤ政党シャスのアリエ・デリ閣僚を解任せざるを得なくなった。
今回の改革案では、裁判官の任命に関して政府がより大きな発言権を持つことになる。
12月に超正統派ユダヤ教徒と極右勢力との連立政権を率いて政権に復帰したネタニヤフ政権は、よりよい権力バランスのために改革の必要性を主張している。
しかし、批評家たちは、汚職容疑で裁判中のネタニヤフ首相が自身に対する判決の可能性を封じるために改革を利用しようとしていると非難している。ネタニヤフ首相は容疑を否認し、司法改革と自身の件との関連を否定している。
反対派は、改革案をより広くイスラエルの民主主義に対する脅威とみなしている。
デモ参加者は、法案の1回目の審議の採決が可決されれば、11日に大規模な抗議デモを行うことを明言している。
イスラエルの公共放送局KANが9日に発表した世論調査によると、イスラエル国民の31パーセントが改革に賛成し、43パーセントが反対している。
ネタニヤフ首相は6月のウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューで、改革は継続するが、最高裁の権限を制限する条項は削除することを明らかにした。
ネタニヤフ首相はインタビューの中で、「原案が出された直後、私はすでにいくつかの点を変更した」と語った。
「国会(クネセト)が過半数で最高裁の決定を覆すことができるという上書き条項のアイデアは、私は捨てたと言った」
AFP